第4章「蠢く敵の影」

「よーし、いいぞ!お前達!」
「はぁはぁ、久しぶりの師匠の走り込みは、きついな・・・」
「そうなんですか・・・?はぁはぁ・・・私達には、いつもきついですが・・・」
「もう・・・二四も、十二先輩も・・・早いよぉ・・・」

俺達は、3冊揃って、師匠の元で修行していた。
師匠は、俺も修行に参加したのが、嬉しかったのか、多分、
いつもよりキツ目な修行をしていると思う。
油断をすれば、大怪我になりかねないような難易度だ。
前に師匠と修行していた時には、そこまで感じていなかったはずの苦しさが、
今回は、嫌と言うほど実感した。
俺は、何もかもが、下がってしまっている。体力も戦闘の技術も。
久しぶりに再会した時に、師匠に心配されたが、それは間違っていなかったのだ。
師匠の見る目は、確実であったと思い知らされる。

「情けないぞ!お前達!ただの走り込みで、そんなに息を切らしているようでは、
2冊目に瞬殺されるぞ!!」

師匠はここぞとばかりに、俺達に喝を入れる。
ま、師匠は悪い冗談を言う本ではない。こう言うからには、
こんなことくらいで、へばってる俺達は、全然、師匠達が
戦う事になったら、足元にも及ばないのだろう。
そうなれば、迷惑をかけるだけだ。
俺は、二四とゴートンの兄弟子なのだから、ここでカッコ悪い姿なぞ見せられるものか。

「師匠!次は何をするのですか!さっさと教えて下さい!」

俺は、呼吸するのも、まだ苦しい中で、師匠に向かい叫んだ。
師匠は、嬉しそうにニヤリと笑うと、俺に叫んで返した。

「いいぞ!十二!次は、崖の近くで瞑想だ。もちろん、時々、
拙者が攻撃をするからな?それを避けながらも、瞑想し、集中力を鍛える修行だ!いいな?!」
「はい!」

師匠の言葉に、二四とゴートンが顔を真っ青にして、お互いの顔を見ている。

「え?今、崖の上でするとか言った?にっちゃん?」
「うん。間違いなく言ったね。ごーちゃん・・・」

どうやら、この2冊としては、初めての崖の上での修行なのだろう。
崖の上ってだけで、ビビっているようじゃ、最終的に、
師匠と手合わせした時には、こいつらは死に掛けるんじゃないのか?
師匠は手合わせの時は、マジで容赦しないからな。
俺だって、本気で殺されるんだと、何度思わされたかしれない。
死を感じる時ほど、潜在的な能力が引き出されるチャンスはないと、
それが師匠の口癖であった。
その時の師匠の顔は、恐ろしい鬼の様な、死神がもしいるなら、
まさにその時の師匠を差すのだろうと俺は思ったほどだ。
けど、その経験があったからこそ、今の俺は、敵と対峙した時に、
敵にビビることが、ほとんど無くなった。
まぁ、師匠以上に怖い存在なんて、俺からすれば、後は2の奴なものか?
あ、違う意味で、怒ったトワも怖いけどな。

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