第3章「混濁するモノたち」
「済まない。今、戻った。」
俺は、少し時間がかかった事を、四四に軽く謝罪し、無事に宿泊して良い許可を
貰った事をすぐに話した。
「そうですか。良かったです。こちらも、まだ、情報が
集まっていなかったので、大丈夫ですよ。」
「そうか。良かったよ。」
俺は、四四からも話を聞き、ホッとした。手伝いに来たのに、
肝心なとこで、手伝いが出来なかったら意味がないからだ。
俺は、すぐに、紙とペンを自分の側に用意して、四四の式神達からくるであろう、
情報がいつ来ても良い様に気を引き締めて待機した。
トワも、他の人間が、部屋に近づいて来てないかと、警戒する。
「来ました!言いますよ?いいですか?十二?」
「おう!いいぞ!言ってくれ。」
「では・・・。・・・・で、・・・・となったと・・・・」
四四は、早口に式神が集めて来た情報を喋り出した。
俺は一文字一句間違えないように、俺の中の能力の一部を使って紙に書き出した。
そんな作業が、明朝まで続き、全部の情報が書き出された時、
女の霊の事情が浮き彫りになった。
「そちは何て女じゃ。まるで、かの有名なあの陰陽師でも見ているかのようだ。」
女の霊は、四四の行動を見て、凄く感心していた。
ま、それはそうだろうな。四四は、その有名な陰陽師が
持っていたであろう、書物なんかも、きっと喰べているだろうからなぁ。
「ふふ。それは、お褒めの言葉として、貰っておきますね。
で、貴女の知りたかった答えが、分かりましたよ?」
「なんと?!本当かえ?!」
「はい。これから、書き出して貰った情報を見ながら、説明しますね。」
「頼む!早う、教えておくれ!」
四四の言葉に、女の霊は興奮気味であった。四四は、俺が式神の情報を書き出した、
数枚の紙を受け取り、穏やかな気持ちで説明していく。
「まずは、貴女が憑いてる、この本を、どこかの家の蔵にしまったと言ってましたが、
その通りで、その蔵は宮部さんの家の蔵だったようです。
一時的にこの本を隠すつもりだけだったみたいですね。」
「そうであったか・・・で?その後は、どうしたのじゃ?」
「ここからは悲しい話なのですが、宮部さんは、どうにかして、
この本を自分の本に正式にしようとしていたみたいで、活動されていたようです。
けれども、その途中で重い病気になり、この本を蔵から取り出すことも
出来なくなってしまったみたいですね。
その際に、この本はどこかに紛失したと言う事にして、
自分の家の蔵にはしまっておくことは出来て、手放さなくて済んだのは済んだようですが。」
「なんと・・・そんな事になっておったのか。」
「はい。それで、宮部さんが亡くなった後は、宮部さんと不仲だった息子さんが、
この本は、もしかしたら価値があって高く売れるかもしれないと思ったようで、
その手の者に売り渡したようです。」
「そうであったのか・・・宮部も可哀想な奴よ。息子がそんな者とはな。」
「そうですね。それで、貴女は事情が分からず、宮部さんを恨むようになりましたよね?」
「そうじゃな。」
「貴女が宮部さんを恨む気持ちが強くなれば、なるほどに、
この本は、怪奇現象を起こす、怖い本と言う事になり、それで、
持ち主が転々と変わったみたいですね。
で、最後の持ち主は、祟りを恐れて、この本を、この寺に納めたと言う事です。」
四四の話をここまで聞いて、俺も事情が分かった。
トワは、何とも悲しそうな顔で四四の報告を聞いていた。
俺は、少し時間がかかった事を、四四に軽く謝罪し、無事に宿泊して良い許可を
貰った事をすぐに話した。
「そうですか。良かったです。こちらも、まだ、情報が
集まっていなかったので、大丈夫ですよ。」
「そうか。良かったよ。」
俺は、四四からも話を聞き、ホッとした。手伝いに来たのに、
肝心なとこで、手伝いが出来なかったら意味がないからだ。
俺は、すぐに、紙とペンを自分の側に用意して、四四の式神達からくるであろう、
情報がいつ来ても良い様に気を引き締めて待機した。
トワも、他の人間が、部屋に近づいて来てないかと、警戒する。
「来ました!言いますよ?いいですか?十二?」
「おう!いいぞ!言ってくれ。」
「では・・・。・・・・で、・・・・となったと・・・・」
四四は、早口に式神が集めて来た情報を喋り出した。
俺は一文字一句間違えないように、俺の中の能力の一部を使って紙に書き出した。
そんな作業が、明朝まで続き、全部の情報が書き出された時、
女の霊の事情が浮き彫りになった。
「そちは何て女じゃ。まるで、かの有名なあの陰陽師でも見ているかのようだ。」
女の霊は、四四の行動を見て、凄く感心していた。
ま、それはそうだろうな。四四は、その有名な陰陽師が
持っていたであろう、書物なんかも、きっと喰べているだろうからなぁ。
「ふふ。それは、お褒めの言葉として、貰っておきますね。
で、貴女の知りたかった答えが、分かりましたよ?」
「なんと?!本当かえ?!」
「はい。これから、書き出して貰った情報を見ながら、説明しますね。」
「頼む!早う、教えておくれ!」
四四の言葉に、女の霊は興奮気味であった。四四は、俺が式神の情報を書き出した、
数枚の紙を受け取り、穏やかな気持ちで説明していく。
「まずは、貴女が憑いてる、この本を、どこかの家の蔵にしまったと言ってましたが、
その通りで、その蔵は宮部さんの家の蔵だったようです。
一時的にこの本を隠すつもりだけだったみたいですね。」
「そうであったか・・・で?その後は、どうしたのじゃ?」
「ここからは悲しい話なのですが、宮部さんは、どうにかして、
この本を自分の本に正式にしようとしていたみたいで、活動されていたようです。
けれども、その途中で重い病気になり、この本を蔵から取り出すことも
出来なくなってしまったみたいですね。
その際に、この本はどこかに紛失したと言う事にして、
自分の家の蔵にはしまっておくことは出来て、手放さなくて済んだのは済んだようですが。」
「なんと・・・そんな事になっておったのか。」
「はい。それで、宮部さんが亡くなった後は、宮部さんと不仲だった息子さんが、
この本は、もしかしたら価値があって高く売れるかもしれないと思ったようで、
その手の者に売り渡したようです。」
「そうであったのか・・・宮部も可哀想な奴よ。息子がそんな者とはな。」
「そうですね。それで、貴女は事情が分からず、宮部さんを恨むようになりましたよね?」
「そうじゃな。」
「貴女が宮部さんを恨む気持ちが強くなれば、なるほどに、
この本は、怪奇現象を起こす、怖い本と言う事になり、それで、
持ち主が転々と変わったみたいですね。
で、最後の持ち主は、祟りを恐れて、この本を、この寺に納めたと言う事です。」
四四の話をここまで聞いて、俺も事情が分かった。
トワは、何とも悲しそうな顔で四四の報告を聞いていた。