第3章「混濁するモノたち」
「妾は、ここに来る前は、今の時代の図書館やらと言う場所におった。
そこの館長の宮部と言う男に、大事に大事にして貰っておった。
宮部は、この本が大層大好きだったようでの、
まるで妾が愛されていたかの様に錯覚したものよ。」
「まぁ・・・それは・・・」
「しかし、その図書館とやらは、取り壊しが決まったのじゃ。
妾は、他の図書館へ移動になると言う話のようだったが、宮部はこの本と
別れるのを惜しんで、この本をこっそり別の場所に移動させたのよ。」
「そこはどこですか?」
「妾も良くはわからぬ。どこかの家の蔵のような場所であったが、
それっきり宮部は姿と見せなくなり、この本も酷い管理のままに、
挙句の果てには、汚い人間の手で、何度かやり取りがなされた後で、
最後はここに辿り着いたのよ。」
「それは・・・貴女にしたら災難でしたね。」
「災難などでは済まぬ!!!」
女の霊は、また怒り出し、四四を睨む。これには、俺も少しだけ、
身体を竦ませた。
「宮部の奴め・・・どうしてじゃ?この本を大事にしていたのではなかったのか?
妾は、あやつが大事にしてくれるのなら、どんな場所に
移動しようとも構わなかったのに・・・
それなのに・・・どうして、あれっきり姿を見せぬ・・・
口惜しいや・・・口惜しや・・・」
女の霊は、怒りからか、また激しい怨念をまき散らし始める。
四四は、お札の束をバシっと床に叩き、女の霊を鎮める。
「怒りに身を置いては駄目です。完全に悪霊になってしまったら、
もう自我は戻ってこなくなってしまいます。
そしたら、私とこうして話すことも出来なくなるでしょう。
私は、貴女を悪霊として苦しませながら、成仏なんてさせたくないのです。」
「済まぬ・・・だが、妾は悲しみが憎しみに変わるほどに、
この状況が納得出来ぬのじゃ。
そちなら、この原因が本当にわかるのかえ?」
女の霊は、今度は悲しそうな顔をして、四四に聞いた。
四四は静かに頷いた。
「私なら出来ます。少し、調べなければならないこともありますから、
今すぐに即答は出来ませんが、一晩のお時間は貰えませんか?」
「うぬ。妾は構わぬ。本当にそれで、答えを知る事が出来るので
あれば、
妾は数年でも待とうぞ?」
「うふふ。そんなにかかりませんよ。きっと。」
四四は優しい笑顔で、女の霊に言った。
いやー本当に四四には感心するな。俺なら、別に霊は怖くないが、
それでも、あんな風に幽霊に笑いかけるのには、勇気がいるわ。
トワも、四四と女の霊とのやり取りを見ながら、
今は怖がっているよりも、興味津々な目で見ていた。
四四は、大量の依り代を作成し、式神を呼び出して、依り代に憑依させて一斉に、
女の霊と関りがありそうな場所に飛ばした。
まるで、何か映画の一場面でも見ているような気分に俺はなる。
「十二。悪いのですが、今晩、ここに泊まってもいいか、
住職に聞いてきて貰えませんか?」
「あ?ああ、いいぞ。他には、俺が出来そうなことはあるか?」
「後は、十二が戻ってきたら、私が式神から読み取った言葉を
紙に書き出して貰えませんか?」
「わかった。」
「トワちゃんは、他の人間がここに入って来ないように警護してくれる?」
「うん!わかったわ!任せて!」
俺達は、四四に託された仕事をやる事になった。
さて、どんな結果が待っていることやら。
そこの館長の宮部と言う男に、大事に大事にして貰っておった。
宮部は、この本が大層大好きだったようでの、
まるで妾が愛されていたかの様に錯覚したものよ。」
「まぁ・・・それは・・・」
「しかし、その図書館とやらは、取り壊しが決まったのじゃ。
妾は、他の図書館へ移動になると言う話のようだったが、宮部はこの本と
別れるのを惜しんで、この本をこっそり別の場所に移動させたのよ。」
「そこはどこですか?」
「妾も良くはわからぬ。どこかの家の蔵のような場所であったが、
それっきり宮部は姿と見せなくなり、この本も酷い管理のままに、
挙句の果てには、汚い人間の手で、何度かやり取りがなされた後で、
最後はここに辿り着いたのよ。」
「それは・・・貴女にしたら災難でしたね。」
「災難などでは済まぬ!!!」
女の霊は、また怒り出し、四四を睨む。これには、俺も少しだけ、
身体を竦ませた。
「宮部の奴め・・・どうしてじゃ?この本を大事にしていたのではなかったのか?
妾は、あやつが大事にしてくれるのなら、どんな場所に
移動しようとも構わなかったのに・・・
それなのに・・・どうして、あれっきり姿を見せぬ・・・
口惜しいや・・・口惜しや・・・」
女の霊は、怒りからか、また激しい怨念をまき散らし始める。
四四は、お札の束をバシっと床に叩き、女の霊を鎮める。
「怒りに身を置いては駄目です。完全に悪霊になってしまったら、
もう自我は戻ってこなくなってしまいます。
そしたら、私とこうして話すことも出来なくなるでしょう。
私は、貴女を悪霊として苦しませながら、成仏なんてさせたくないのです。」
「済まぬ・・・だが、妾は悲しみが憎しみに変わるほどに、
この状況が納得出来ぬのじゃ。
そちなら、この原因が本当にわかるのかえ?」
女の霊は、今度は悲しそうな顔をして、四四に聞いた。
四四は静かに頷いた。
「私なら出来ます。少し、調べなければならないこともありますから、
今すぐに即答は出来ませんが、一晩のお時間は貰えませんか?」
「うぬ。妾は構わぬ。本当にそれで、答えを知る事が出来るので
あれば、
妾は数年でも待とうぞ?」
「うふふ。そんなにかかりませんよ。きっと。」
四四は優しい笑顔で、女の霊に言った。
いやー本当に四四には感心するな。俺なら、別に霊は怖くないが、
それでも、あんな風に幽霊に笑いかけるのには、勇気がいるわ。
トワも、四四と女の霊とのやり取りを見ながら、
今は怖がっているよりも、興味津々な目で見ていた。
四四は、大量の依り代を作成し、式神を呼び出して、依り代に憑依させて一斉に、
女の霊と関りがありそうな場所に飛ばした。
まるで、何か映画の一場面でも見ているような気分に俺はなる。
「十二。悪いのですが、今晩、ここに泊まってもいいか、
住職に聞いてきて貰えませんか?」
「あ?ああ、いいぞ。他には、俺が出来そうなことはあるか?」
「後は、十二が戻ってきたら、私が式神から読み取った言葉を
紙に書き出して貰えませんか?」
「わかった。」
「トワちゃんは、他の人間がここに入って来ないように警護してくれる?」
「うん!わかったわ!任せて!」
俺達は、四四に託された仕事をやる事になった。
さて、どんな結果が待っていることやら。