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第3章「混濁するモノたち」

俺達は、俺の車の中で、超長年ぶりの再会を果たして、話し合った。
44冊目は、ここ10年程くらい、今日、俺達が行った遊園地の
あのアトラクションの中で、ほぼ大人しくしていたらしい。
お腹が空けば、夜中に抜け出し、食事をしては戻ると言うような
暮らしをしていたようだ。

「あの雰囲気が自分の好みで良くて、それに居心地もいいし、
何よりお客さんの反応が面白くて。ついあそこに居ました。」
「四四(よし)は、前から変わった趣味あるけど、10年も
居たのか。それはそれで凄いな。」

俺は四四の最近の状況を聞いて、正直に驚いていた。

「十二は、今は古本屋をしてるんですね。でも、十二なら、似合ってると思います。」
「有難うな。後、今の俺は眷属を持ったんだ。さっき会ったと思うけど、
トワって言う女の本なんだが。」
「あ、会いましたね。でも意外でした。十二は眷属を持たないで
生きていくつもりなんだと思っていましたから。」

四四は、あんまり感情を出さずに俺に言った。
四四は、普段から無駄に感情を表に出さない本だったので、
悪気があるとかそういうわけではない。

「俺も自分で驚いてる。でも、持ってみると悪いものじゃなかったよ。
後、四四が良ければ、今度トワを紹介させてくれ。それから、
もし四四がその気なら、6冊目や9冊目に、24冊目と50冊目とも会えるぞ?」
「凄いですね。十二の側にはそんなに仲間が。」

俺がそう言うと、流石に四四も少し驚いた顔で俺を見ていた。

「今は、私は何も困ってないので、大丈夫です。
けど、今後、どうにもならない時には、頼ってもいいですか?」
「ああ、もちろんだ。その時は、俺はここに基本いるから、そこに来てくれ。」

俺は、四四に今使っている、名刺を渡しておいた。

「有難うございます。この名刺、頂いておきますね。」

四四は俺の名刺を大事そうに受け取って、服の中にしまった。
それから、3時間くらいは、互いの状況を話し合い、
俺は、会話の終盤に2冊目の事を注意しておいた。

「18の奴は、俺が倒したから、しばらくは大丈夫だと思うが、
8の奴が今度は日本に来る可能性が高いかもしれない。
いや、先に15冊目と16冊目かもな。」
「ふぅ・・・嫌ですね。2冊目側は2冊目側で仲間を集めて、
地盤を固める感じですか?」
「そうだな。まぁ・・・8の奴は、2の奴にどんな扱いされても
嬉しいんだろうから、どうにもならないけどな・・・」
「あ、そんな話ありましたね。8冊目って救いないですね。」

四四は、バッサリと8の奴を切り捨てるように言った。
全く持って、俺も同意だ。救いがない存在と言うのはいるものだ。
俺達は、とことん話をし合い、別れた。

「あー良かった。四四で。あの調子なら、今すぐに敵対するとかは流石にないだろう。
それに四四も、争ったり、共喰いは反対派だからな。
出来れば、このまま、俺達の仲間になってくれればいいんだが。」

俺はそう考えながら、トワの待つ自分の家に帰った。
トワは、少し涙ぐみながら、帰宅した俺に抱きついてくる。
俺は、やれやれと言った顔で、トワの頭をポンポンと叩いた。
そんなに心配しなくてもいいっつのに。
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