第3章「混濁するモノたち」
「酷いなぁ・・・けど、下巻の44冊目じゃ、覚えてくれてないか。」
俺の問いかけに、本の姿のままのそいつは答える。
44冊目か・・・この口の聞き方だと、俺と会ってる感じだが、
俺は思い出せずにいた。
「覚えてないのは、悪かった。でも、なんで今日は俺達に話かけて来たんだ?
あそこで上手い具合に隠れていたんじゃないのか?」
俺は、率直に44冊目に聞いた。本の姿の所為で表情はわからない。
だが、今のところは敵対はするつもりはなさそうだ。
「いや・・・最近は本喰人同士で戦いが激化してるって聞いて。
噂じゃ、この日本でも戦いがあったって聞いたから、そしたら、
12冊目かなぁーなんて思っていたら、今日、まさか12冊目が、
彼女と一緒にここに来ると思わなくてさ。」
「あのな・・・トワは俺の彼女じゃない。眷属だ。」
「あ、そうなの?」
44冊目は何を勘違いしたのか、トワを俺の彼女だと思ったらしい。
俺は、まずはそこを訂正した。44冊目は悪びれた様子もなく、
俺の訂正にすぐに従った。
「とりあえず、今すぐじゃなくても、いいんだけどさ。
せっかく12冊目と無事に会う事が出来たから、
情報交換とかさせて貰えたらと思うんだけど、駄目ですか?」
44冊目は、俺達にそう聞いてきた。今のところは敵ではなさそうだが、油断も出来ない。
他の本喰人のスパイと言う可能性もあるからだ。
だから、俺は慎重に答えることにする。
「ああ、いいぞ。でも、俺もまだ用事があるから、今日の夕方過ぎぐらいなら、
有難いんだが、それでもいいか?」
「はい。全然、構いません。なら、夜の7時にここの近くに
公園があるので、そこでどうですか?」
44冊目は俺にそう提案してきたので、俺は了解した。
トワの方は、せっかくの外出に水を差される感じになり、少し不機嫌そうにしていたが、
44冊目から離れた時には、今度は俺を心配してきた。
「ねぇ!十二、大丈夫なの?あんな怪しそうな本の誘いを聞いて?」
「大丈夫だろう。俺の事を知っているみたいだし。あの会話では、
俺を憎んだりはしてなさそうだしな。
それに敵なら敵で、結局は関わるしかない。あいつの目的を探り出す意味でもな。」
「そうだけどさ・・・」
トワは俺の話を聞いて、かなり心配した顔をする。
トワを楽しませる為に今日は来たのに、こんな事になるとはな。
俺も、なんかトワに悪いことをしてしまった気持ちになり、
気が滅入ってしまった。
それにしても、悪い方向にならなければいいのだが。
しかし、俺は44冊目と、どんな関りが過去にあっただろうか?
俺は、それが思い出せずにモヤモヤする。
少なくとも、俺は44冊目に恨みなどはない。
あれば、どんな些細なことであっても、俺は絶対に忘れない。
あるとするなら44冊目の方かもしれないが・・・
俺は誰かに恨みを買うようなことをしたか?
俺は、あれこれ考えていた所為で、その後のトワの写真を
多く撮り損ねて、トワに激怒される羽目になった。
俺の問いかけに、本の姿のままのそいつは答える。
44冊目か・・・この口の聞き方だと、俺と会ってる感じだが、
俺は思い出せずにいた。
「覚えてないのは、悪かった。でも、なんで今日は俺達に話かけて来たんだ?
あそこで上手い具合に隠れていたんじゃないのか?」
俺は、率直に44冊目に聞いた。本の姿の所為で表情はわからない。
だが、今のところは敵対はするつもりはなさそうだ。
「いや・・・最近は本喰人同士で戦いが激化してるって聞いて。
噂じゃ、この日本でも戦いがあったって聞いたから、そしたら、
12冊目かなぁーなんて思っていたら、今日、まさか12冊目が、
彼女と一緒にここに来ると思わなくてさ。」
「あのな・・・トワは俺の彼女じゃない。眷属だ。」
「あ、そうなの?」
44冊目は何を勘違いしたのか、トワを俺の彼女だと思ったらしい。
俺は、まずはそこを訂正した。44冊目は悪びれた様子もなく、
俺の訂正にすぐに従った。
「とりあえず、今すぐじゃなくても、いいんだけどさ。
せっかく12冊目と無事に会う事が出来たから、
情報交換とかさせて貰えたらと思うんだけど、駄目ですか?」
44冊目は、俺達にそう聞いてきた。今のところは敵ではなさそうだが、油断も出来ない。
他の本喰人のスパイと言う可能性もあるからだ。
だから、俺は慎重に答えることにする。
「ああ、いいぞ。でも、俺もまだ用事があるから、今日の夕方過ぎぐらいなら、
有難いんだが、それでもいいか?」
「はい。全然、構いません。なら、夜の7時にここの近くに
公園があるので、そこでどうですか?」
44冊目は俺にそう提案してきたので、俺は了解した。
トワの方は、せっかくの外出に水を差される感じになり、少し不機嫌そうにしていたが、
44冊目から離れた時には、今度は俺を心配してきた。
「ねぇ!十二、大丈夫なの?あんな怪しそうな本の誘いを聞いて?」
「大丈夫だろう。俺の事を知っているみたいだし。あの会話では、
俺を憎んだりはしてなさそうだしな。
それに敵なら敵で、結局は関わるしかない。あいつの目的を探り出す意味でもな。」
「そうだけどさ・・・」
トワは俺の話を聞いて、かなり心配した顔をする。
トワを楽しませる為に今日は来たのに、こんな事になるとはな。
俺も、なんかトワに悪いことをしてしまった気持ちになり、
気が滅入ってしまった。
それにしても、悪い方向にならなければいいのだが。
しかし、俺は44冊目と、どんな関りが過去にあっただろうか?
俺は、それが思い出せずにモヤモヤする。
少なくとも、俺は44冊目に恨みなどはない。
あれば、どんな些細なことであっても、俺は絶対に忘れない。
あるとするなら44冊目の方かもしれないが・・・
俺は誰かに恨みを買うようなことをしたか?
俺は、あれこれ考えていた所為で、その後のトワの写真を
多く撮り損ねて、トワに激怒される羽目になった。