このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第3章「混濁するモノたち」

「ぷっ・・・く・・・あははははは!」
「こら!そんなに笑うんじゃない!トワ!!!」
「だってぇー!十二が、指名されると思わなかったんだもん♪」

俺は、あるアトラクションの所為で、トワに思い出し笑いされていた。
俺は、嫌々とあるアトラクションにトワと一緒に行ったのだが、
そこでヘンテコな海の生物に話かけられ、今日は誰と来たのか等を質問され、
挙句の果てに、変なポーズまで強制されたのだ。

「何が、お兄さん元気ないねぇー!だよ。トワの所為で疲れてたんだ。全く。」
「もうー。十二ったら、怒らないでよ!そういうショーなんだから、
しょうがないじゃない!普通はあのキャラに話しかけられたい子は
いっぱいいるんだよ?」
「そ、そうなのか?最近の人間の楽しみはよくわかんねぇな。」

俺はつい正直、そう言ってしまった。確かにあのキャラは会話が
巧みだったのは俺も認める。
俺だって、見てるだけ済んだのなら、楽しかったかもしれないが・・・

「俺は、もう今回でこのショーは結構だな。トワに笑いのネタに
されるしな?」
「もうーごめんってばー次は、普通の乗るだけだから!ね?
ご機嫌直してよぉ、十二?」

トワは可愛い顔をして、俺にそう言ってくる。キュアートと仲良くなってから、
本当に俺の扱いまで上手くなった気がするのは気のせいか?
でも、今日はトワの為に来たわけだしな・・・しょうがない。

「わかった、わかった。これ以上、馬鹿にしないなら、付き合ってやる。」
「えへへ♪もう、馬鹿にしないもん!じゃー次に行きましょう♪」

トワは笑顔になって、俺の腕を引っ張る。にしても、俺達が
外見から見れば、恋人に見えるんだろうな。
トワは、この遊園地に居ても、一部の男達の注目の的になっていた。

「すげぇ・・・視線を感じるな。隙あらば、ナンパしようとしてくる奴もいるし。
彼女がいる奴は、流石に彼女の事を考えろよな・・・」

俺は、そんな男達に嫌気が差していた。
そんな俺の事など知る由もなく、トワは楽しさでご機嫌であった。

「次は、これね♪」
「これは・・・お化け屋敷か?」
「うん!ちょっと怖いやつみたい。十二は、こういうの駄目?」
「いや、全然。」
「良かったー♪じゃー行こう♪」

薄暗いアトラクションに着いたトワは、俺とこう会話して、
出入り口に、一緒に入った。
ん・・・こういう場所だからなのか?なんか、ソワソワするな。
俺は、今まで感じてなかった、違和感を感じた。
こういう場所って、呼ぶって言うしな・・・本物を・・・。

「どうしたの?十二?」
「ん?あ、いや、何でもない。」
「嘘!絶対、何か隠してるでしょ?」

乗り物に乗る為に行列に並びながら、トワは俺を小言で問い詰める。
こんな時に余計な事を言って、機嫌を悪くさせるのも嫌なんだけどなぁー俺は。

「別に隠してるわけじゃなくて、思い出したんだよ。」
「何を?」
「こういう場所で、本物が出るって言う噂をさ。」

俺がこう言うとトワは少し驚いた顔をしていた。
17/30ページ
スキ