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第3章「混濁するモノたち」

「わーい♪十二見えてる?ちゃんと写真撮ってね♪」
「あーはいはいー撮れてるぞ!」

俺は、トワに渡されたスマホでトワの指定された通りに写真を撮る。
今日、俺は、久しぶりにトワと外出していた。最近、留守番ばかりさせていたのもあり、
今回はトワの行きたい場所に付き合ってやることにした。
トワは、ずっと前から行きたがっていた、有名な遊園地を選んだ。
そこは、船も乗れたりするらしいので、トワ的には丁度良かったらしい。
俺が、そこに連れて行ってやると言ったら、トワは喜びに喜んで、
チケット取りから、何から全部、自分でしてしまった。
車で行くなら、こう行った方がいいと言う事まで調べてあった。

「本当、よっぽど来たかったんだなぁ。あの笑顔だもんな。」

俺はと言えば、正直、こういう場所は苦手だった。トワとでなければ、
絶対に一生来ることがなかっただろう。俺は基本、自分の家で、
のんびり読書している方が好きだからな。
けど、師匠ではないが、新しい事を学ぶのも、今のこの状況では、
悪くないかもしれない。
それに、最近は、やたらとトワにおっさん臭いだの、酷い時は、
じじ臭いとまで言われる程だ。
別に気にしなければ、いいんだが、あんまりにも言われると、流石の俺も傷つく。
だから、今回は余計に、若者のトワの行動から、俺も何かを学ぼうと思っていた。

「まぁ・・・そんな事をトワに言ったら、それはそれで、
おじさん臭いとか言いそうだけどな・・・」

俺は、トワには聞こえないだろうが、そう呟いた。
トワは、この遊園地の完全マップガイドまで、しっかり喰べて、
しっかりと言葉通りに身に染み込ませて来ていたので、見所を
網羅すべく、分刻みで俺を連れまわした。

「十二!ぐずぐすしないで!今度は、あのアトラクションに行くよ!」
「おい、嘘だろ?さっきと、また正反対の場所に行くのかよ?!」
「しょうがないでしょ!マスコットキャラと、あの乗り物が、
いいタイミングで出て来て、絶好の映え写真撮れるんだから!
早く!早く!先に行っちゃうよ?!」
「あー先に行ってろ!すぐ追いかけるから・・・」

俺は、トワの行動力の凄さに驚かされると同時に恐怖に近いものさえ感じた。
行きたかった場所に行けるってだけで、あんなにも、はしゃげるものなのか。

「俺・・・やっぱり、師匠のとこに修行に行った方がいいかもしれないな・・・
トワの行動力に付いていけてないとか、ヤバすぎるだろう・・・」

俺は情けなく、ゼイゼイと息を切らしながらも、トワが向かった場所に、
必死に追いつこうと再度走った。
せめてもの救いは、俺達、本喰人は水分を取ったり、トイレなどに
行かなくてもいいことか。
それでも、今日はこれだけ動き回れば、食事に必要な本も、
相当になりそうな気がするが。
この遊園地でも、食事になりそうな美味しそうな本が見つかるといいな。
俺は、それを楽しみにして、トワに付き合った。
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