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第3章「混濁するモノたち」

「ところでな、十二。話し忘れていた事があったのだ。」
「何ですか?師匠?」
「前から、お前に話してもいたが、8冊目がおるだろう?」
「あの、2に狂信的に従ってる、8ですか?」
「そうだ。その8冊目が、何やら活動しているらしいのだ。
10冊目が最近連絡をくれてな。10冊目が言うにはな、
8冊目は、15冊目と16冊目を唆して、仲間にしたかもしれないと。」
「そうだとしたら、最悪ですね。」
「ああ、拙者もな、危惧している。何せ、15冊目と16冊目は双子のように、
仲が良い本達だ。互いの能力もよく理解し合っている。
それが敵として戦うとなると厄介になるだろう。」
「そうですね・・・」

俺は師匠の言葉を聞いて、顔が険しくなる。15と16を敵に回すと言う事は、
同時に2冊と戦わなければならないと言う事だ。
あの2冊は、余程のことがない限りは常に離れずにいると言う
噂がある。
1冊ずつ相手にするのは、難しそうだ。こちらも2冊で戦うか、するしかない。

「それを考えると、24冊と50冊も、コンビ技とか出来るように
なれるといいですね。」
「そうであるな。拙者も、本来はじっくりと修行をしてやりたいのだが、
事情が事情だからな、あの2冊には、急ぎ足で強くなって貰わなければな。」
「その点は、あの2冊は若さと才能があると俺は見込んでます。」
「そうか。お前が言うのだがら、期待は出来そうだな。」

師匠は、新しい弟子との修行の事を考え、顔がにやけていた。

「ところで、師匠。あの2冊達とは、どこで修行する予定なんですか?」
「うむ、そうだな、関西あたりで行おうかと思っておるが。」
「関西ですか・・・」

俺は、前々考えていたことを師匠に話そうと思った。

「師匠。実は考えていたことがあるんですが。」
「ん?なんだ?」
「24冊目達に、関西で彼らの拠点を持って貰おうかと思うんです。」
「ほう。」
「そうすれば、いざと言う時にお互いの拠点を行き来して、
敵の追跡などから隠れられる隠れ家になればいいかなと。
「特殊な本」を探すのにも、便利だと思いますし。」
「それは良い考えかもしれんな。そうなれば、拙者も世話になれるな。」
「その為にも、師匠。拠点作りも、あいつらに教えてやって貰えますか?」
「ああ、いいだろう。自分の住処の作り方も大事なものだからな。」
「有難うございます。師匠。」
「ふっ。十二。お前、あの2冊達の事をかなり気に入っているな?」

師匠は、何故か嬉しそうな顔で俺にそう言ってきた。
俺は、意外なことを師匠から言われ、動揺してしまった。

「え?そう見えますか?」
「ああ、拙者には見えるな。新しい弟でも出来た兄のようだ。」
「それを言うなら、師匠だって、セn・・・痛!師匠!痛いですって?!」

俺は、逆にセアの事を師匠に言おうとしたら、思いっきり、
胸を叩かれた。冗談抜きで痛かったんだが・・・
師匠的には、今はまだセアの話は禁句のようだ。気を付けよう。
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