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第3章「混濁するモノたち」

俺達は、無事に東京に着き、キュアートはセアを連れてホテルに戻り、
師匠と二四達は、とりあえず俺の本拠地に来ることにした。
トワは、嬉しそうに俺達の帰りを出迎えたが、師匠を見て、びっくりしていた。
師匠には、トワの事を話してあったのだが、セアの出来事もあった所為か、
師匠の方はちょっと難しい顔をしている。
俺は、トワに男同士の話があるから自分の部屋に行くように言った。
きっとトワがいると、師匠が気が散ってしょうがないと判断したからだ。
トワは不機嫌になってしまったが、これは後で、トワには俺が
フォローするしかない。

「で、今後の事だが、お前たちは、拙者の修行を受けたいのか?」
「はい。」
「そうです。」

二四達は真面目な顔で、師匠に頷いてみせる。
俺も、二四達が有利になるように口添えしてやる。

「師匠。こいつらは見込みがありそうですよ。下巻クラスの中でも、
こうして協力して生き残ってきたみたいです。
若い分、飲み込みもいいし、まだまだ成長すると思います。
それから・・・24冊目は、出来るのなら、13冊目の仇を取りたいそうです。」
「仇討ちか・・・」

師匠は、二四の顔をじっと見る。師匠なりに、まずは外見から、
色々と二四を品定めしているのだろう。
師匠の本を見る目も、なかなかに鋭い。
俺が本を見る目を養えたのも、師匠のおかげでもある。

「拙者は、仇討ちは、本当は良いものとはしていない。
しかし、今回は、あの2冊目となれば、話は変わってくる。
24冊目のお前が、仇討ちにならずとも、いずれは誰かが戦うことになるだろう。
あいつの目的は、我々の殲滅だからな。」
「そうですね。」

俺は師匠の言葉に頷いた。だからこそ、こちら側の戦力をあげておきたい。
お互いが無事に生き残る為にも。
それは師匠も同じ考えのはずだ。キュアートの提案で、協定を結んだのだから。

「よし!お前達の修行を引き受けよう!」
「本当ですか!6冊目!」
「本当?!」

二四達は素直に喜ぶ。俺も、師匠が無事に引き受けてくれて良かったと安心した。
本気で、俺達の戦力を上げたいと思うなら、俺よりは、
やっぱり師匠に修行して貰った方が絶対にいい。
二四達は、上巻クラスの戦いを、まだ全然知らないだろう。
師匠から、それを学べれば、絶対に今後生きていく上でも、
有利であることには変わりない。
俺達は、本を喰うことで、人間では考えられない速度で、知識を身につけることは出来る。
だが、戦いともなると、やっぱり実戦な経験も大事だ。
それに、二四とゴートンの2冊でやれば、お互いに切磋琢磨して、
きっと、もっと成長できるだろうと俺は考えていた。
出来れば、コンビ技みたいなのも、習得してくれたらなと思う。
ゲームのような話かもしれないが、俺達は1冊でも、もちろん戦えるが、
気の合う仲間と一緒に戦えれば、互いの能力などを融合することも、出来なくはないのだ。
俺が、過去に二四達の話を聞く限りでは、この2冊は、無意識に、
互いの能力を融合させて戦ったことがありそうなのだ。
もし、今後は意識して、そうした事が出来るようになれば、必ず、
2冊達にとって、良い武器になるだろう。

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