このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第3章「混濁するモノたち」

「ごめんなさいね。六。まさか、娘がこんな迷惑かけるだなんて、思わなくて。」
「いや、キュアート殿。某も、あの時は言葉が足りなかったのは、申し訳なかった。
しかし、日本がいくら安全な国とは言え、年頃の娘、1人で旅は危険だと思うぞ。」
「あら?いくら何でも、それは甘やかしすぎよ?私の娘も、
もう一人立ちさせなきゃいけないのは事実なんだから。」
「うむ・・・だが・・・」
「あーはいはい!両者とも、ここまでにしてくれ!」

俺は、6冊目とキュアートの会話に割って入った。
この調子だと、口喧嘩になりそうな気がしたからだ。
子育てに関しては、この両者が歩み寄れる気がしない。
6冊目は考え方が古風だろうし、キュアートは、女だから、
これはダメとか、そうした考えは嫌いだからだ。
6冊目、今後は師匠と呼ぶが、師匠はまだ少し男尊女卑な考えが
ある本でもあった。

「そうね。十二の言う通り、ここでは、この件の話はもう止めましょう。
せっかく、六と再会したのだもの。お互いの近況報告し合うべきだわ。」
「そうだな。某も、最近の他の本喰人の状況は、あまり知らないので、
知りたいとこだったのだ。」

キュアートも師匠も、すぐに話題を切り替え、お互いの近況報告をしようと話し出す。
俺達も、話に参加して、長時間の話し合いになりそうだ。
キュアートの方は、今日も旦那は帰ってくるのが遅いので、それまでに、
ホテルに帰れれば大丈夫との事。
俺達はキュアートの用意した船で、東京に帰ることにした。
途中で俺の車も回収させて貰って。

「この争いの元凶はやはり、2だと思って良さそうだな。」

二四から、13冊目の殺害の話と、俺から18の出来事などを、聞いた師匠は、
2への嫌悪を隠さずに、そう言った。
ちなみに、師匠も2の事は嫌いである。若い頃は、色々なことで
衝突し合い、悪いライバル関係だったようだ。
その代わり、2に関しての情報も、師匠はそれなりに持っている。
二四が2への復讐を考えているのなら、師匠の存在は、有難いはずだ。

「なら、私達で、まず協定組まない?お互いに常に連絡を取り合って、
2が何か行動したら、知らせ合うのはどうかしら?」

キュアートは、そう俺達に提案する。俺達は全員賛成した。
ここに集まっている本達は、お互い殺し合い、一番に
なろうなんて、そんなことは考えていない。
師匠は、自然を愛し、修行をして己の高めるのが好きなだけだし、
キュアートには旦那と子供がいる。
俺は、前から言ってるが、今は東京で、のんびりと話題の本などを
食べれればいいし、トワの世話もある。
二四もゴートンも互いに親友で、人間の社会で静かに暮らしたいと願っている。
俺達は利害が一致していると言っていい。
ただ、二四は、2への復讐は果たしたいところだろうが、
命の危険があれば、ゴートンが必死で止めるだろう。
いざと言う時の助け合いが出来るのは、悪い事ではない。
5/30ページ
スキ