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第3章「混濁するモノたち」

「何だと!!そんなに9冊目からしたら、大事になっていたのか!!」

俺の説明を聞いて、流石の6冊目も大声を上げた。
6冊目は、知らなかったのだ。セアは、ちゃんと母である、
キュアートの了解を得て、自分と一緒にいるのだと思っていたらしい。
それが、連絡もせずに、音信不通になっていたのだから、そうなっても仕方がない。

「セア殿。12冊目の言うことは間違いないのだな?」

6冊目は厳しい顔で、セアを睨んでいた。セアからすれば、災難続きだろう。
母であるキュアートから、大激怒され、説教を散々された挙句に、
今度は好意がある、6冊目からも、大説教されるのだから。
俺から、すれば、セアの自業自得だから同情なんかしてやらんが。

「ごめんなさい。六ちゃん。でも、私、六ちゃんの事が、本当に好きなの。
最初は粗暴な本だなって、思ったけど・・・でも、六ちゃんは、
私が1冊でママのお使いしてるの知って、本気で心配してくれたでしょ?
それに、私が困ったら、文句言いながらも、ちゃんと助けてくれるし、パパにはない、
男らしいさがあるって言うか。だから、どうしても一緒に居たかったの。」

セアは涙目になりながらも、6冊目に自分の好意を素直に伝える。
これは完璧にセアの我が儘だ。けども、6冊目は、泣き始めたセアを前に、
怒鳴るに怒鳴れない感じだ。
何より、ここまでセアが自分に好意があったのを知ったのは、今が初めてだろう。
凄く戸惑っているのが、俺にも分かるくらいだ。
6冊目からすれば、セアは、娘、いや孫くらいにしか感じてなかったに違いない。

「まるで、美女と野獣みたいだね・・・」

ゴートンはこの光景を見て、ボソっと、そう呟いた。
俺は、上手い例えだなと感じた。
6冊目は凛々しい顔立ちではあるが、茶色の短髪はボサボサで、
灰色の瞳は、いつも鋭く、顎鬚さえも、ちゃんと剃ってない感じの、
がたいの良い男だ。身長も180cmはあるはずだ。
そんな姿の6冊目とセアが並んだのなら、まさに美女と野獣と
言ってもいいかもしれない。

「と、とりあえず。こうなった以上は、某も9冊目に会うしかあるまい。
そして、要らぬ心配を掛けたことを謝罪せなばならぬ。」
「本当ですか!そうして、貰えると俺も助かります。」
「12冊目、お前にも迷惑かけたな。」
「いえ。こんな状況になってしまいましたが、6冊目と再会出来たのは良かったです。
この件が解決したら、ぜひお願いしたことがあったので。」
「ほう?何だ?」

俺は、二四とゴートンに自己紹介させ、6冊目の元で鍛えて欲しいことを言った。
6冊目は嬉しそうな顔をして、2冊達を見た。二四達は緊張している。
この調子なら、面倒みてくれそうだと、俺も期待した。
この後、数時間後に、キュアートが調達した船が、俺達のいる島に迎えに来た。
俺の車も余裕で乗る、デカい船で。
船には、もちろんキュアートも乗っていて、心配をかけた娘を
腕組みして待っていた。あれは、間違いなく機嫌が悪い。
俺は、また過去の事を思い出し、苦笑いするしかなかった。
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