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第3章「混濁するモノたち」

「だから、帰らないってば!!」
「ですが、貴女のお母様である、キュアート様は本気で心配されてましたよ?」
「そうだよ!1度帰ってから、また来ればいいじゃん!」
「そんなことしたら、あの人は私から逃げるわ!」

6冊目と宿坊に着き、6冊目の泊まっている部屋の隣の部屋から、
男女の言い争う声が聞こえる。
同じ階には他の人間が泊まっていないから、いい様なものを、
これが都会だったら、大迷惑であっただろう。
流石に、6冊目も我慢の限界のようで、ずかずかと、セアの部屋に入る。

「セア殿!貴女は女性だと言うのに、何て声を上げるのだ!
もっと淑女らしくしなさいと、いつも言っているだろ!」
「六ちゃんー酷い!」
「ろ・・・ろくちゃん?」

俺は、このやり取りに、気が抜けた。成長したセアは、
まるで色違いのキュアートのようだった。
少しピンクのかかった金髪のウェーブかかった長髪に、赤い瞳の
成人した女性になっていた。
間違いなく、美人だ。今のこの場所が場違いなほど、
どこか、貴族の屋敷でも居そうな、お姫様の様な服を着ていた。
よく、怪しまれずに、ここに泊まれたもんだ。6冊目もだが。

「セア殿・・・人前で、その様に拙者を呼ぶな。」

6冊目は、六ちゃんとセアに呼ばれ、恥ずかしがって、怒った。
しかし、6冊目とセアの雰囲気は悪くなく感じる。
うーん、これは、もしかしてお互いに満更でもない感じか?

「だってぇ・・・ママが、とうとう私を連れ戻しに、12冊目達を寄こすんだもん・・・
嫌だよぉ・・・私は六ちゃんと居たいんだもん。」

あーやっぱり、こういう事だったか。と俺は呆れた。
二四達も、困った顔で、俺とセアと6冊目を見る。
どうしたらいいんですかねぇ・・・と言った顔だ。
俺は溜息をついて、セアに言う。

「セア。久しぶりだな。大人になっても、人に迷惑かけるのは、感心しないな。
お前の母親のキュアートがすげぇー心配してたぞ。とにかく、今から連絡しろ。」
「まぁ!12冊目ったら、久しぶりなのに、凄く偉そう!ふんだ!」

久しぶりに会ったセアは、俺の言葉を無視し、不貞腐れて、そっぽ向いた。
正直、トワくらいの子供にされるなら、まだ可愛いが、ここまで成長したセアに、
されるとムカつくだけだ。

「お前の所為で、6冊目が誘拐犯みたいな扱いされてるんだぞ?
いいのか?
あの調子だと、キュアートは、旦那の権力とか使って、何するわからないぞ?
6冊目に迷惑かけてまで、一緒に居たいのか?」
「うぅう・・・わかったわよ!ママに電話すればいいんでしょ・・・」

セアは、嫌々と言う感じで、自分の携帯でキュアートに電話し始めた。

「おい、12冊目、これはどういうことなのだ?拙者にはさっぱりなのだが・・・」

6冊目は、セアの行動が全く理解出来ないらしい。無理もないだろう。
6冊目は、恋愛関係には疎いだろうから。
俺だって今から、この状況を説明するのはしんどい。

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