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第2章「共同戦線」

俺達は互いに連絡がつくように、携帯の電話番号などを交換し合い、
その後は、二四達も宮城に行く準備をしに家に戻り、俺もトワと自宅に帰ってきた。
キュアートは、しばらくは旦那の仕事の関係もあって、今日泊まっている、
このホテルにいるとのことだった。

「はぁーいいなぁ・・・ああ言う生活・・・」

トワは早速、キュアートの優雅な生活に憧れ、俺に溜息をついてくる。
そりゃ・・・俺だって、憧れなくもない、豪華な生活には。

「悪かったな。俺の生活は貧乏臭くて・・・」

俺は、トワにわざとそう言ってやった。トワも、キュアートのとこで誕生していれば、
キュアートの子供として、優雅な生活を送れたことだろう。
ただ、こればかりは、運としか言いようがない。
もちろん、過去にも言ったが、特殊小冊子をキュアートのように大事にする奴もいれば、
逆に奴隷のように酷く扱うやつもいる。少なくとも、俺はトワを
酷く扱ってるつもりはない。

「別に、十二の事を悪く言ったつもりないもん!」

トワは口を尖らせて、俺に抗議してくる。だが、顔を見れば、不満あり気だ。
もっと、贅沢すればいいのに。と、顔に書いてある。

「俺だって、キュアートみたいな生活には憧れるが、
俺は男だ。キュアートみたいに姿を女にして、同じように
生きられなくもないが、俺はそんな生活は望んでない。」
「トワだって・・・別に女だけど、同じ生活がしたいわけじゃ・・・」
「それに、最初にあんな生活してると、維持していくの大変だぞ?
生活の質はいくらでも上げられるけど、下げるのって、すげぇー苦痛だからな。」
「そういうもんなの?」
「そういうもんだ。長く生きるとな。」
「ふぅーん・・・そうなんだ。」

トワは俺の言う事に、とりあえずは素直に聞く。
生活を維持していくのは大変だと言う事に関しては、
トワもわかるはずだ。
最近は、いざと言う時の為に、家計も勉強させてるからな。

「あんな贅沢は、またに、するからいいんだ。毎回してると、
麻痺してきて、いつしか100万円単位の本じゃなきゃ、
満足出来ないような身体にでもなってみろ?悲惨だぞ?」
「うーん、確かに・・・それはあるかも・・・」

トワは、自分の将来を考えて、身震いしている。
あんな極上品も、そう簡単にあるものではない。市場によっては、
数十年出ないことだってある。
何より、値段がいくら高額であっても、俺達、本喰人がまず
食べれる本なのかは別だ。
また食べれる本であっても、値段が高いから、必ずしも、美味しいとも限らない。
そこは、個人の好みもある。

「とりあえず、トワは今回は、あんな極上品を食べさせて貰ったのは、
超ラッキーだったくらいに思う事だな。俺もだが。」
「うん。そうすることにする。」

トワは、妙に素直になって俺に従った。珍しいもんだ。
こんな早く素直になるんて。けど、またいつかは、トワには、
キュアートから、女の本としての生き方について、学ばせて
貰わなければな。と俺は考えた。
キュアートと同じ生き方は、出来ればして欲しくはないが、
同性の先輩としては、申し分ないだろう。
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