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第2章「共同戦線」

「そう、それで、ああ、そういうことだ。」

俺は、大まかに二四に、キュアートから連絡があって、会いに来てることや、
5冊目の居場所や、6冊目に逢えるかもしれないことも話した。

「だが、6冊目とは最悪、敵対するかもしれない。」
「そうですか・・・」

俺の言葉に、二四の息を飲み込む音が聞こえる。
緊張しているのだろう。6冊目と戦うかもしれないことに。

「俺は極力、6冊目とは戦う気はない。9冊目の娘だけ、
どうにか助け出したいだけなんだ。だから、お前達に、協力を
求めるかもしれない。そうなったら、お前達・・・協力してくれるか?」

俺は、いい返事が貰えるかどうか、不安で聞いてみたが、それは
取り越し苦労で終わった。
二四は快く引き受けてくれたのだ。ゴートンと一緒に。

「もちろんです。12冊目。私達は、12冊目には恩があります。
そんな、言い方しないで、今すぐにでも、協力させて下さい。」
「二四・・・お前・・・」
「12冊目!僕もちゃんと手伝うからね!!」

電話を二四に代わり、ゴートンも、しっかりと俺に伝える。
俺は、2冊の返答に感動してしまった。思わず、泣きそうになるくらいに。
俺も、それなりの歳になったのかなと心の中で苦笑いした。

「有り難う。助かるよ。じゃあ、また何かあったら、連絡するから、その時は頼む。」
「わかりました。私達は、いつでも、協力できるようにしておきますから。
遠慮なく、連絡下さい。」
「ああ、頼む。じゃあな。」
「はい。」

俺は、二四と連絡が出来て、ほっとした。
やっぱり、仲間とは、いいものだな、と改めて思う。
最初は、仲間なんてと、強がってはいた俺ではあるが。
今は、上巻クラスの奴等が争っている所為で、険悪な仲の本喰人達もいるが、
そうじゃない奴等は、こうしてお互いに助け合い、何とか人間の社会で生きている。
俺は、誰が本喰人の中で1番か、等と決めたがる馬鹿の気持ちが、
本当に理解出来ない。
どんな目的にせよ、同じ本喰人の仲間を殺して、どうなると言うのだ。
1番の強さが証明されたとしても、代わりにあるのは、この世で、
1冊だけの本喰人になったと言う、孤独しかないではないか。
もちろん、長い年月で、また新しい本喰人が、誕生しないとも、
限らないではないが、それでも、絶対にまた誕生するとも、限らないのだ。
そうなれば、本当に天涯孤独だ。俺なら、そんな状態はごめんだ。
そうしたら、俺は最後には死を選ぶかもしれない。
その争いを起こした張本人であろう2冊目に、俺は目的が
聞けるなら、聞いてみたい気持ちになった。
が、やっぱり関る方が、リスクが高いので、出来るのなら、
遭わないで済む方が良いと考え直した。

「そういう事だからね?トワちゃん?」
「はい!キュアートお姉様!」

トワとキュアートの声が聞こえてきて、俺はやっと2冊の女子会が、
終わったことを知った。
多分、話を内容を聞こうとしても、教えてはくれないだろう。
俺はキュアートがトワに変な事だけは、吹き込んでない事を
願うしかなかった。
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