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第2章「共同戦線」

「セアか・・・あのじゃじゃ馬娘か・・・」

俺は、3冊達から、セアの名前を聞いて、苦い顔をした。
今はこの3冊達の様子からだと、優しいお姉ちゃんになったようだが、
俺が知っている、セアは、それはそれは、おてんばな娘で、
俺をよく困らせてくれたものだ。
今のトワの方が数倍、可愛く思える程に。

「そーいや、よく王子様ごっこに付き合わされたな。
無理難題言われて、ちゃんとやらないと泣かれたりしてな・・・
マジで、あの時はきつかったわ・・・」

俺は、過去の事を思い出して、今でもげんなりする。
俺を王子様に仕立て上げて、お姫様にプロポーズするシーンを、
何度やらされたかしれない。
しかも、同じセリフでプロポーズすると、怒られたり、場所も、
同じとこでするとロマンチックじゃないとか、文句言われたり、
俺では理解出来ない、設定でさせられそうになったりと、一時期は、
俺も女にトラウマになりそうなレベルだった。
考えれば、アレの所為で、俺は恋愛系の本は苦手なのかもしれない。

「そのセアが・・・6冊目に監禁されてるのかもしれないのか・・・」

俺は何とも複雑な気分になったが、過去の事があるからと言って、
やっぱり助けに行かないと言う事も出来ずに、諦めるしかなかった。
そう、これはセアの為と言うよりは、キュアートの為にすることなのだから。

「今は、どんな子になったのか、逆に楽しみかもしれないな。」

俺は自分にそう言い聞かせた。それに、やっぱり6冊目の事が
何より気になる。
キュアートの子供達も、俺に言いたい事を言えて、満足したのか、
俺から離れて、また遊び始めた。

「あ、今のうちに、二四に連絡しとくか・・・」

俺はスマホを取り出して、二四の電話する。
二四はすぐに電話に出てくれた。

「お疲れ様です。十二先輩。何かありましたか?」
「ああ、今、電話したけど、大丈夫か?」
「はい。今は特に何もしてないので、大丈夫です。」
「そうか、実はな、今日、9冊目のとこに来てるんだ。」
「9冊目ですか?!出逢えたんですか?!」

二四が俺の報告に、驚く。
その声を聞いて、遠くからゴートンも反応している。
ドタバタと、ゴートンが二四に近づいてくる音さえしている。

「で、9冊目とは何を?」
「今日は、お互いの近況報告をしてた。それから、9冊目は、
お前達とも会いたいと言ってくれてる。」
「本当ですか!ぜひ、私達も、お会いしたいです!」
「今は、ちょっと9冊目はトワと話してるから、確認出来ないが、
近々会えるはずだから、お前達も時間空けておいてくれ。」
「わかりました!絶対に空けておきます。ごーちゃん!
そういうことだから、予定入れないでよ!」

二四が、スマホから距離を取り、ゴートンにもそう言うと、
遠くから、「わかった!十二先輩!!」と返事が来た。
こいつらは、恋人同士か・・・と思うようなやり取りに、俺も
つい笑いそうになった。
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