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第2章「共同戦線」

キュアートとトワが話し合いをしてる間。
俺は手持ち無沙汰になり、キュアートの子供達がいる部屋をそっと覗く。
3冊とも、俺が過去に世話になっていた時に、居た子供達でなく、
それぞれに別の子であった。
俺は、子供達を見て、それもそうかと思った。
考えれば、今の旦那と前の旦那は違うでないか。
本喰人と人間の寿命は違うのだから、当たり前だ。
キュアートは、昔から人間の男に寄り添って生きる本である。
本気で愛し合ってるわけではない。
そう相手に思わせる能力を使い、自分の生活が有利になるように生きている本。
言い方が悪いがサキュバスの様な存在だ。本人が聞いたら激怒しそうだが。
将来の見込みがありそうな、イケメンで尚且つ、身分、実力がありそうな青年を見つけ、
キュアートの能力で、旦那を援助し、社会的地位を成功させる。
そうして、実力のある金持ちにさせて、自分も優雅な生活を
送るのが、キュアートの人間としての暮らしだ。
遥か過去には、王族とも夫婦関係になった事もあるらしいが、
その時は、細かい決まりなど、色々とあって大変だったらしい。
だから、本人曰く、ほどほどの地位にある男で良いとのことだ。
キュアートの外見は、俺が過去に世話になっていた、前と変わらず、
やや茶色の強い金色のウェーブのかかった長髪で、明るい水色の瞳を
した、絶世の美女だ。
本喰人の俺からしたら、絶世とかそういうのは正直に言って、
よくわからんが、昔からキュアートに
「私はただの美人じゃないの!絶世の美女なのよ!」と何度も
言われてたので、誰かに言う時は、その癖がついてしまった。

俺が、子供達を遠くから見ながら、キュアートの事を考えていると、
1冊の子が俺の存在に気づいて、近づいてくる。

「お兄ちゃんが、12冊目のお兄ちゃん?」
「ん?あ、そうだが?」
「本当?!ねぇーねぇー皆!この人が、12冊目だって!!」
「お、おい!」

1冊の子が俺の存在を確認すると、他の兄弟も大声で呼び、俺の側に寄って来る。
俺は、過去の嫌な事を思い出し、困惑する。
過去に居た、子供達は悪戯好きで、散々俺に悪戯してきたので、
正直、良い思い出がなかった。
今回も、そうなるのではないかと警戒している俺に、集まって来た、
今のキュアートの子供達は、キュアートと同じ髪色で瞳を持つ、
3つ子の様な男の子達の姿をしていた。好奇心旺盛な顔で俺を見ていたかと、
思うと、今度は冷静な口調でこう言ってくる。

「セアお姉ちゃんを助けてあげて。」
「セアお姉ちゃんは、優しい僕らの大事なお姉ちゃんなの。」
「セアお姉ちゃんはね、自分の王子様を探しに行っちゃったの。」

と、3冊それぞれが俺に訴えてくる。
俺は、最後に言った子の言葉に疑問を持つ。

「セアお姉ちゃんは王子様を探しに行ったのか?」

俺が再度聞き直すと、3冊は顔を合わせて、頷く。

「ママのお使いをしながら、ママの様な素敵な王子様を
見つけるんだって言ってた。」
「うん、言ってた!ね?」
「うん、僕もそう聞いた!」

3冊達は無邪気に、笑顔で俺に言う。
セア・・・何となく俺は過去からその名前を聞いて、
不安に思ってきた。俺が過去にキュアートに世話になって、
俺に一番悪戯してきた、あのわんぱくな女の子の本か・・・
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