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プロローグ

俺の本拠地は、東京の古本街で有名な場所から、少し離れた場所にある元雑居ビルだ。
5階建てで、2階を住居にし、1階で古本屋をたまに営業し、
3階からは、飯として保管してる本の倉庫と言った感じで暮らしている。
基本は何でも1人でこなしているが、最近は、本の買い取りの際に、
同じ古本屋の仕事仲間から、紹介を受けたりもして、上手く人間の世界に
馴染んでいるつもりだ。
俺は本堂の店主の2代目として、生きている。実際は、1代目も俺なんだが。
本喰人に、基本、寿命はない。
自分の基本となる本さえ、無事であるのなら、何百年だって生きれる。
人間には使えない、力が俺達にはあり、それは俗に言う、
魔法やら、術やらと言われる力なのかもしれないが、俺達自身も、
上手く説明出来ない。
それは、各自の本喰人の解釈による。
俺は、面倒くさいので、魔法と言う事にしている。
そっちの方が個人的には、響きもカッコイイと思えるからだ。
なので、俺はある程度の年数が過ぎたら、世代交代する振りをして、
長期間は日本の、この東京で暮らす予定であった。
だが、もしかしたら、その予定は変更せざる負えないかもしれない。
上巻クラスの奴らのくだらない争いの所為で。

「全く・・・馬鹿な事を始めたもんだよな。何が1番の本喰人を、決めるだ。
そんなのを決めて、誰が得するんだ?確かに何年でも生き続けられる俺達からすれば、
何かの刺激が欲しいのかもしれないが、それなら他者に迷惑をかけずに、
自分だけ楽しめる趣味で楽しめっつの・・・」

俺は誰も聞いていないのをわかっていながらも、ぼやかずにはいられなかった。
その時に、何やら物音が聞こえて、俺は神経が過敏になる。

「まさか・・・客?いや・・・泥棒か?3階から音がしたな・・・
最悪、同種じゃないだろうな・・・」

俺は警戒しつつ、3階に向かう。
俺の本拠地には、同種に気づかれないように、ある程度の対策はしてはいる。
何もしないままでいれば、もちろん美味しそうな匂いは、外に漏れてしまう。
そうなれば、ここに、たくさんの「特殊な本」がありますよと、
教えてるような状態になってしまうからだ。
誰がそんな馬鹿な真似をするものか。
だが、今日は一気に飯の仕入れを行ったから、もしかしたら、
いつもの対策では、間に合わなかったのかもしれない。
人間の泥棒相手なら、絶対に負けないが、同種が相手になると、
場合によっては、しんどいことになりかねない。

「頼むから・・・俺の気のせいであってくれよ・・・」

俺は、物音がした3階に慎重に足を踏み入れた。
最近は、同種との「戦い」をしていない、俺は戦いになる状態だけは、
絶対に避けたかった。
最悪は、交渉が出来る同種であることを願うだけだ。
まだ、相手の存在がわからないが俺は出来る限りの事を考えていた。
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