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第2章「共同戦線」

「キュアート、心配しないで、俺に協力させてくれ。」
「十二・・・有り難う。なら遠慮なく、お願いするわ。
私よりも、十二の方が、6冊目を説得出来る気がするの。
6冊目は、女の本が苦手だからね。」
「そう言えば、そうだったな。」

俺は男だったので、すっかり、その事は忘れていた。
6冊目は女と言うものが苦手だった。人間にしても本にしても。

「あ、でさ、キュアート・・・もし、最悪なんだけどさ・・・」
「何よ。そういうの聞きたくないわ・・・」
「頼むよ。もし、今後、俺に何かあったらさ、トワの事を頼みたいんだ。」
「十二・・・わかったわ。でも、それは本当に最悪な事態の時だけだからね!」
「うん。それでいいよ。」

俺は最後に一番頼みたかったことをキュアートに頼めて安心した。
大体の話が終わった頃に、やっとトワは正気に戻ったらしく、
慌てて、俺達が居る部屋に走って来た。

「フログベルデさん!今日は、本当に美味しい食事を有難うございました!!!」

トワは、キラキラとした瞳に、眩しい笑顔で、キュアートにお礼を言う。
キュアートもトワの感謝に喜んでいる。

「いいのよ♪トワちゃんが、そんなに喜んでくれたのなら、
私も用意した甲斐があったわ♪
後、苗字じゃなくて、トワちゃんもキュアートって呼んで頂戴♪」
「そんな、呼び捨てなんて、畏れ多いです!!」
「なら、お姉ちゃんでもいいわよ?ウフフ♪」
「そうなら・・・キュアートお姉様でいいですか?」

俺は思わず、このやりとりに、吹き出しそうになった。
いくら極上の恋愛本を食べたばかりと言え、影響を受けすぎだろう。
お姉様って・・・どっかの歌劇団かよ。
俺は、何だかトワの将来が不安になってきた。
お姉様と言われた、当のキュアートと言えば、必死に笑いを堪えている。
油断をすれば、大爆笑しかねない感じだ。
トワは、そんな俺達を、嬉しそうにニコニコ見ていた。

「そうだわ!私はトワちゃんにも話があるの♪ここからは、
女の子同士の話よ♪だから、十二は出て行って頂戴!」
「はぁ?女の子同士って・・・何で、俺が居たらいけないんだ?」
「十二!キュアートお姉様の言う事聞いて!!」
「むぅ・・・」

俺は、極上の本にすでに釣られているトワにムッとした。
簡単に釣られて、俺の眷属のはずなのに、情けないと言ったらない。
しかし、キュアートの言う通り、今日の経験はトワには無駄でなかった気がする。
これが敵の罠で、あんな極上の本を食べて、あんな腑抜けな状態になられたら、
どうにも出来なかっただろう。
1度でも、味を知れば、今後はあんなに腑抜けにはなるまい。
今回、俺が思っていたよりは、立ち直りが早かったのだけは、
俺も感心した。
それに、今回でキュアートを慕うのなら、いい結果と言えなくもない。
これが、2の奴を慕う事になったりしたら、最悪の結果になるところだった。
そうした事態も、キュアートは考えていてくれたのかもしれないなと、
俺はこの時になって思った。
そして、俺は可愛く怒ったトワに部屋から追ん出された。
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