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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

翌日、自分はサキと一緒にサキの祖父の家に向かうことにした。
泊っていたホテルを出てすぐに、サキは自分にあることを言い出す。

「おじいちゃんの家に行く前に、鍵を実家に借りに行かなきゃだわ。」
「サキの実家に?鍵はそっちに預けてたの?」
「うん。私が大阪に行っちゃったからね。東京に居た時は私が持ってたんだけどさ。」
「なら、先にサキの実家に行かないとだね。」
「そうなんだけど、お母さんは十がお気に入りだから、捕まると面倒くさそうなのよねぇ・・・
いつ十と結婚するんだって、毎回電話する度に言うんだからさー」
「はは。そーいえば、そんな事を毎度言われるって言ってたね。」

サキは少しむくれた顔をして、自分に母親の愚痴を言い出す。

「どうしようか・・・十は別のとこで待機してる?
お母さんに捕まえると、今日中におじいちゃんの家に行けなくなっちゃうかもだし・・・」
「それでいいの?自分はサキのお母さんに挨拶してもいいけど?」
「今日はしなくてもいいの!
十だってまずはおじいちゃんの家に早く行きたいでしょ?」
「まぁ・・・やるべきことを先にさせて欲しいとこではあるけど。」
「じゃぁ、十は私と駅で別れたら、どっか喫茶店に入ってって!
私はさっさと鍵を貰って戻ってくるから。」
「わかった。そうするよ。」

自分はサキの提案を受けて、サキの実家近くの駅まで一緒に行動した後で、
駅でサキと一旦別れた。
サキが実家に向かって行くのを見送った後で、
自分がどこの店に入ろうかと悩んでいると、
電話が鳴ったので確認したら1冊目からだった。

「もしもし?どうされたんですか?」
「十か。ちょっと報告したいことがあってな。」
「何です?」

自分は1冊目の声から、何か良からぬ報告な気がして、
すぐに人気のない場所に移動した。

「実はな・・・5冊目が動き出したかもしれん。」
「え?5冊目がですか?」
「ああ、しかも12冊目を良く思ってない感じだ。」
「そんな・・・どうして?」
「やっぱり理由としては、初版本世代近くに戻ったからかもな。
その頃は5冊目もかなり警戒してたからな。12冊目を。」
「では、最悪は12冊目と5冊目は敵対関係になる恐れがあると?」
「何もせずに5冊目に誤解されたままなら・・・ありえるな。」
「困りましたね。12冊目は5冊目に会いたがっているって言うのに・・・
いきなり敵対されてしまったら、あんまりにも可哀想です。」
「場合によっては十、お前に協力して貰わなければならないが、
構わないか?」
「はい。自分で出来ることがあるなら、12冊目を助けたいです。」

自分は1冊目に素直に自分の気持ちを伝えた。
36冊目の為にあんなに頑張ってる12冊目を手助けしてあげたいのは本当の気持ちだ。
サキと共通の知り合いでもあるのもあるが、
今では12冊目は自分とも友になってくれたと思っている。
しかし、今まで沈黙ばかりしていた5冊目が動き出すとは。
12冊目の覚醒は、5冊目にも何か影響があるのだろうか?



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