第9章「交錯しあう気持ちと確認」
「一旦話を戻しますが1冊目。
その幻の0冊目は死んだ人間を生き返らせる様な力を持った本なんですか?」
「と言う話だな。その他にも奇跡を起こせるとも言われている存在らしい。
俺も過去に読んだソロモニア一族が残した文献でしか知らないんだ。」
「その0冊目も初代が生み出した存在なんですか?」
「そうではないかと俺やトリアは思っているが、
実際のところは、はっきりしていない。
何せその存在がわかったのは、ソロモニア一族が衰退の一途を辿り、
俺達本喰人同士の意見の食い違いも酷くなって、激しく争うようになってから、
いきなり出てきた存在だったからな。」
「その存在を最初に知ったのが、もしかして2冊目ですか?」
「そうだ。どういう状況で知りえたのかはわからないが、
2冊目は0冊目と言う存在を知り、そこから初代を蘇らせ、
ソロモニア一族を再興しようとした。」
「だとするなら、どうして1冊目や3冊目は2冊目の計画に反対したんですか?
ソロモニア一族を再興するって話なら、反対することもなかったのでは?」
「その為に、一部のソロモニア一族を滅ぼし、全ての本喰人を殺すことになってもか?」
1冊目はそう言うと厳しい顔で自分を見てきた。
自分は久しぶりに見た1冊目の厳しい顔につい黙ってしまう。
「死んだ人間をも蘇らせるような力だ。それなりの代償も必要なんだろう。
しかし、だからって確実にその0冊目が初代を蘇らせるとは言えない状態だった。
そんな不確定な要素で、いくら恩義のある初代の為とは言え、
多くの者を殺すことは良くないと、俺もトリアも最初に反対したんだよ。」
「そう・・・ですよね・・・。」
「本喰人にだって、その頃にはそれぞれの人生がすでにあった。
2冊目の様に初代を崇拝している本喰人もいれば、
中巻クラスの本喰人はむしろ次世代に味方しているのもいた。
中には恋仲や、愛し合っている者達だって居ただろう。」
「では本喰人全員が、素直に2冊目の計画に乗るわけないですね。」
「そうだ。各自に大切なものが出来てしまったのだ。
簡単に自分の命を差し出すなんて事は出来ない状況だったんだ。」
「・・・・・・・」
「今現代のお前の立場で言えば、人間の恋人である彼女を殺し、
自分の命を2冊目に差し出せと言うようなものだ。
お前はそんな要求をされたら、素直に従えるか?」
「絶対に無理です。自分の命だけならまだしも・・・
いやそれでも自分はやっぱり拒否すると思います。
1冊目・・・貴方に頼まれたとしてもです。」
「だろう?」
1冊目は自分の言葉を聞き、難しい顔を止めて、フッと笑った。
確かにそんな2冊目の要求に全ての本喰人が素直に聞ける要求ではない。
初代が偉大なのはわかるにしてもだ。
それに各々が信じる者だって、全て同じにするのも無理だと言うものだ。
他者同士の繋がり、絆と言うのはそれぞれに違う。
だからあの時に本喰人同士の大きな諍いになったのだ。
その幻の0冊目は死んだ人間を生き返らせる様な力を持った本なんですか?」
「と言う話だな。その他にも奇跡を起こせるとも言われている存在らしい。
俺も過去に読んだソロモニア一族が残した文献でしか知らないんだ。」
「その0冊目も初代が生み出した存在なんですか?」
「そうではないかと俺やトリアは思っているが、
実際のところは、はっきりしていない。
何せその存在がわかったのは、ソロモニア一族が衰退の一途を辿り、
俺達本喰人同士の意見の食い違いも酷くなって、激しく争うようになってから、
いきなり出てきた存在だったからな。」
「その存在を最初に知ったのが、もしかして2冊目ですか?」
「そうだ。どういう状況で知りえたのかはわからないが、
2冊目は0冊目と言う存在を知り、そこから初代を蘇らせ、
ソロモニア一族を再興しようとした。」
「だとするなら、どうして1冊目や3冊目は2冊目の計画に反対したんですか?
ソロモニア一族を再興するって話なら、反対することもなかったのでは?」
「その為に、一部のソロモニア一族を滅ぼし、全ての本喰人を殺すことになってもか?」
1冊目はそう言うと厳しい顔で自分を見てきた。
自分は久しぶりに見た1冊目の厳しい顔につい黙ってしまう。
「死んだ人間をも蘇らせるような力だ。それなりの代償も必要なんだろう。
しかし、だからって確実にその0冊目が初代を蘇らせるとは言えない状態だった。
そんな不確定な要素で、いくら恩義のある初代の為とは言え、
多くの者を殺すことは良くないと、俺もトリアも最初に反対したんだよ。」
「そう・・・ですよね・・・。」
「本喰人にだって、その頃にはそれぞれの人生がすでにあった。
2冊目の様に初代を崇拝している本喰人もいれば、
中巻クラスの本喰人はむしろ次世代に味方しているのもいた。
中には恋仲や、愛し合っている者達だって居ただろう。」
「では本喰人全員が、素直に2冊目の計画に乗るわけないですね。」
「そうだ。各自に大切なものが出来てしまったのだ。
簡単に自分の命を差し出すなんて事は出来ない状況だったんだ。」
「・・・・・・・」
「今現代のお前の立場で言えば、人間の恋人である彼女を殺し、
自分の命を2冊目に差し出せと言うようなものだ。
お前はそんな要求をされたら、素直に従えるか?」
「絶対に無理です。自分の命だけならまだしも・・・
いやそれでも自分はやっぱり拒否すると思います。
1冊目・・・貴方に頼まれたとしてもです。」
「だろう?」
1冊目は自分の言葉を聞き、難しい顔を止めて、フッと笑った。
確かにそんな2冊目の要求に全ての本喰人が素直に聞ける要求ではない。
初代が偉大なのはわかるにしてもだ。
それに各々が信じる者だって、全て同じにするのも無理だと言うものだ。
他者同士の繋がり、絆と言うのはそれぞれに違う。
だからあの時に本喰人同士の大きな諍いになったのだ。