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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

自分と1冊目は空港から離れて、別の場所に移動した。
自分達は1冊目が所持している東京のあるビルの1室で、
1冊目の隠れ家の1つらしい。
ここなら、ゆっくり話せるだろうと言う事で自分は連れて来られた。
空港からもそんなに遠い場所ではなかった。

「こんな場所を持ってたんですね。」
「まぁな。日本は比較的安全なんだ。
2冊目は日本を嫌ってるからな。滅多な事がない限り来ないしな。」
「え?そうだったんですか?」
「あれ?教えてなかったか?」
「はい。初めて聞きましたが・・・」

1冊目はとぼけた顔をして、自分に重大なことをさらりと言う。
2冊目が日本を嫌っていたなんて初耳だった。
それならもっと早くに教えて欲しかったくらいだ。

「どうして2冊目は日本が嫌いなんですか?」
「日本は2冊目からしたら、トラウマのある国なのさ。」
「トラウマですか?あの2冊目に?信じられない・・・」

自分は1冊目の言葉を聞いて、素直に信じられそうになかった。
確かに過去を振り返れば、2冊目が日本に来てる印象は全くなかったが、
それは用が無かったのではなく、嫌いだから来なかったとは思わなかった。
これはある意味では2冊目の弱点ではないのか?
それがわかれば、今後にも役立ちそうだと思い、自分は更に1冊目に尋ねた。

「日本の何がそんなに2冊目にはトラウマなんですか?」
「ある日本人とその日本人を慕っていた本喰人に、
かなり痛い目を遭わされたことがあるんだよ、あいつは。」
「え?本当ですか?2冊目が?」
「ああ。かなり油断してたんだろうな。2冊目も。」
「そんな凄い日本人が・・・居たんですね。」
「大分過去にはなるがな。」
「その日本人の子孫とかは今は?」
「わからん。多分、その日本人に味方した本喰人が、どうにか匿って助けたとは思うがな。」
「でしょうねぇ・・・」

一体どんな日本人だったのだろうか?
自分は凄く興味を持った。もしかして、恋人のサキの先祖とかではあるまいか?
などと考えてもみるが、今は何もわかるわけがなかった。

「十二はそんな情報も知っていたんでしょうか?
だから日本に来ていたとか?」
「どうだろうなぁ・・・トリアが教えたとも思えないが。」
「じゃあ・・・偶然日本に来ただけなんですかねぇ?」
「もしかしたら何か感じるものはあったのかもしれないな。
こればかりは当人に聞くしかないだろう。」
「ですね。近いうちに十二に聞いてみます。」
「そうしてくれ。で、何かわかったら俺にも教えてくれ。」
「はい。わかりました。」

自分は1冊目をしっかりと見て頷いた。
それにしても2冊目を相手に勝てた、その日本人と本喰人が気になるところだ。
どうやってあの2冊目に勝てたのだろうか?
それが知れれば、今後にも良い情報になるのだが・・・


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