第9章「交錯しあう気持ちと確認」
「!!!」
夢は途中で急に醒めた。
拙者は嫌な汗をたくさん掻いて、ベッドの上に寝ていた。
拙者の横では静かな寝息を立ててセアが寝ている。
「今頃になって、あの過去を思い出すとはな・・・」
セアを起こさないようにしながら、拙者は1冊だけで外の風に当たりに行く。
心臓の鼓動が不快に感じる程に荒く脈打つ。
冷静になれ!冷静になれ!と自分に言い聞かせる。
「あれだけ思い出したかった過去の一部を、今日になって思い出すとは。
ここ最近キュアート殿の側に居て、更にその眷属達に囲まれて過ごしていたからか?」
キュアート殿と呼んでいる自分を急に苦笑いしたくなる。
過去の自分であったのなら、こんな呼び方はしなかっただろう。
もっと他人行儀な口の利き方を昔はしていた気がする。
「今は今。昔は昔のはずだ。なのに、この感情は何だ?」
抑えようとしているのに、嫌な負の感情が沸き上がる。
言いしれない怒りに近い感情とでも言うのか?
ここは自分のいるべき場所ではないと、過去の自分が囁いてくる。
「あんな夢を見たから、拙者は今、動揺しているだけだ。
気持ちを落ち着かせなければならぬな・・・」
油断すると拙者はキュアート殿やセアに危害を加えそうで怖かった。
いやそれ以外の存在にだって、敵意を向けそうになっている自分がいる。
「あの夢の所為で、拙者は思考が混乱しているのか?
昔の様に2冊目の仲間であった自分の感情が、
こうも今の拙者を苦しめることになるとは・・・」
過去を思い出した時の為に、拙者は自分が取り乱さないように、
その為の精神修行も積んでいるつもりだった。
過去と現在で、己の気持ちをしっかりと割り切ったと確信していたのに、
今日のこの有様では出来てないに等しいではないか。
「今夜はセアが寝ていたから良かったが・・・
あの夢から醒めて、もしあの時セアが起きていたら・・・」
拙者はそう考えて身震いした。
過去の自分の意思が表に出てしまったら、きっとセアをこの手にかけていただろう。
始めは愛し合うつもりもなかった彼女を、人生で初めて愛した存在を、
自分は殺そうとしたかもしれないのだ。
「これは緊急事態かもしれんな・・・
ノウェム達に相談し、拙者はキュアート殿やセアとも、
一旦距離を置いた方がいいかもしれん。」
それに十二達の力も借りたいところだ。
いざ拙者が暴走しそうになったら、すぐに止められる存在は、
十二だけだろう。
拙者は携帯を取り出し、十二に電話しようとしたところで、
ある人物と目が合う。
「やぁゼクス。長年ぶりだな。」
「ツヴァイ・・・・・」
拙者の目の前には、今日見た夢の姿のままの2冊目がいた。
突然のことに、拙者はつい昔の呼び名で2冊目を呼んでいた。
2冊目はそれが嬉しかったのか、静かに微笑んでいた。
夢は途中で急に醒めた。
拙者は嫌な汗をたくさん掻いて、ベッドの上に寝ていた。
拙者の横では静かな寝息を立ててセアが寝ている。
「今頃になって、あの過去を思い出すとはな・・・」
セアを起こさないようにしながら、拙者は1冊だけで外の風に当たりに行く。
心臓の鼓動が不快に感じる程に荒く脈打つ。
冷静になれ!冷静になれ!と自分に言い聞かせる。
「あれだけ思い出したかった過去の一部を、今日になって思い出すとは。
ここ最近キュアート殿の側に居て、更にその眷属達に囲まれて過ごしていたからか?」
キュアート殿と呼んでいる自分を急に苦笑いしたくなる。
過去の自分であったのなら、こんな呼び方はしなかっただろう。
もっと他人行儀な口の利き方を昔はしていた気がする。
「今は今。昔は昔のはずだ。なのに、この感情は何だ?」
抑えようとしているのに、嫌な負の感情が沸き上がる。
言いしれない怒りに近い感情とでも言うのか?
ここは自分のいるべき場所ではないと、過去の自分が囁いてくる。
「あんな夢を見たから、拙者は今、動揺しているだけだ。
気持ちを落ち着かせなければならぬな・・・」
油断すると拙者はキュアート殿やセアに危害を加えそうで怖かった。
いやそれ以外の存在にだって、敵意を向けそうになっている自分がいる。
「あの夢の所為で、拙者は思考が混乱しているのか?
昔の様に2冊目の仲間であった自分の感情が、
こうも今の拙者を苦しめることになるとは・・・」
過去を思い出した時の為に、拙者は自分が取り乱さないように、
その為の精神修行も積んでいるつもりだった。
過去と現在で、己の気持ちをしっかりと割り切ったと確信していたのに、
今日のこの有様では出来てないに等しいではないか。
「今夜はセアが寝ていたから良かったが・・・
あの夢から醒めて、もしあの時セアが起きていたら・・・」
拙者はそう考えて身震いした。
過去の自分の意思が表に出てしまったら、きっとセアをこの手にかけていただろう。
始めは愛し合うつもりもなかった彼女を、人生で初めて愛した存在を、
自分は殺そうとしたかもしれないのだ。
「これは緊急事態かもしれんな・・・
ノウェム達に相談し、拙者はキュアート殿やセアとも、
一旦距離を置いた方がいいかもしれん。」
それに十二達の力も借りたいところだ。
いざ拙者が暴走しそうになったら、すぐに止められる存在は、
十二だけだろう。
拙者は携帯を取り出し、十二に電話しようとしたところで、
ある人物と目が合う。
「やぁゼクス。長年ぶりだな。」
「ツヴァイ・・・・・」
拙者の目の前には、今日見た夢の姿のままの2冊目がいた。
突然のことに、拙者はつい昔の呼び名で2冊目を呼んでいた。
2冊目はそれが嬉しかったのか、静かに微笑んでいた。