第9章「交錯しあう気持ちと確認」
7冊目達とそろそろ決着をつけるとツヴァイが言った日に、拙者はどうしても気になって、
9冊目の側にただ1冊だけ残ったノウェムに会いに行っていた。
自分でも説明出来ない感情に動かされていたのは事実だった。
あの眷属をただ見捨てるのは忍びないと。
「貴方が・・・6冊目なのですね・・・」
拙者は簡単に自分は6冊目だと名乗り、
このまま9冊目の側に居たらお前は無駄死にするだけだと、あの頃のノウェムに伝えた。
しかしあやつはただ穏やかな顔をして、拙者の助言を聞くだけだった。
何も反発することもなく、静かに拙者の言葉を受け入れている。
「わかってます。俺がしていることは、何にもナイン様の役に立ってません。
それに兄弟にあたるはずの眷属達とは協力するどころか、険悪な関係です。
これではナイン様を守れるわけがない。6冊目の言うように無駄死にするだけしょう。」
「どうしてお前はそこまで9冊目を助けようとする?」
「どうしてでしょうか・・・やっぱりナイン様を信じているからですかね?」
「信じるだと?」
「はい。普段どんなに酷い事をされたとしても、
俺の親・・・いや主はナイン様だけなんです。
だからいつかきっと・・・変わって下さると信じているんです。」
「うむ・・・」
「それにナイン様は時々6冊目の事を話されてましたよ。」
「何?余の事をだと?」
「はい。こんな生活しているようでは、6冊目に怒られてしまうだろうな、と。
それから早く自立した生活をして、認めて貰いたいとも・・・」
「・・・・・・・」
拙者はその言葉を聞いて、呆然としてしまった。
9冊目には9冊目の考えがあって行動していたと言うのか。
いや、まさか拙者の為に早く一人前になりたいと考えているとは思っていなかった。
「まさか9冊目がそんな事を言っていたとはな・・・
てっきり口うるさい存在だと嫌われていたのだと思っていたが・・・」
「そんなわけありません。機嫌が良い時、ナイン様は良く俺に話してくれてました。
自分が一番尊敬している男の本喰人は6冊目だったと。」
ノウェムはそう言うと、笑顔で拙者の顔を見た。
拙者はその顔を見て、ノウェムは嘘をついてはいないと確信した。
ノウェムをこのまま失うのは悲しすぎると思った拙者は、
ノウェムに知っている情報の一部を与え、忠告してやった。
「7冊目は9冊目を2冊目に売り渡し、自分だけ助かろうとしている。
それにお前の眷属の1冊のどちらかは、すでに2冊目の軍門に下っている。」
「そんな・・・ヴァンダムどころか、ファウヌスまで・・・」
拙者の話にノウェムは絶望的な顔をしていた。
1冊だけが裏切っているなら、まだどうにかなると考えていたのだろう。
だが拙者の情報で真に9冊目を守ろうとしているのは、
自分だけだとわかってしまったのだ。
拙者が逆の立場だったら、同じように絶望を感じたことだろう。
9冊目の側にただ1冊だけ残ったノウェムに会いに行っていた。
自分でも説明出来ない感情に動かされていたのは事実だった。
あの眷属をただ見捨てるのは忍びないと。
「貴方が・・・6冊目なのですね・・・」
拙者は簡単に自分は6冊目だと名乗り、
このまま9冊目の側に居たらお前は無駄死にするだけだと、あの頃のノウェムに伝えた。
しかしあやつはただ穏やかな顔をして、拙者の助言を聞くだけだった。
何も反発することもなく、静かに拙者の言葉を受け入れている。
「わかってます。俺がしていることは、何にもナイン様の役に立ってません。
それに兄弟にあたるはずの眷属達とは協力するどころか、険悪な関係です。
これではナイン様を守れるわけがない。6冊目の言うように無駄死にするだけしょう。」
「どうしてお前はそこまで9冊目を助けようとする?」
「どうしてでしょうか・・・やっぱりナイン様を信じているからですかね?」
「信じるだと?」
「はい。普段どんなに酷い事をされたとしても、
俺の親・・・いや主はナイン様だけなんです。
だからいつかきっと・・・変わって下さると信じているんです。」
「うむ・・・」
「それにナイン様は時々6冊目の事を話されてましたよ。」
「何?余の事をだと?」
「はい。こんな生活しているようでは、6冊目に怒られてしまうだろうな、と。
それから早く自立した生活をして、認めて貰いたいとも・・・」
「・・・・・・・」
拙者はその言葉を聞いて、呆然としてしまった。
9冊目には9冊目の考えがあって行動していたと言うのか。
いや、まさか拙者の為に早く一人前になりたいと考えているとは思っていなかった。
「まさか9冊目がそんな事を言っていたとはな・・・
てっきり口うるさい存在だと嫌われていたのだと思っていたが・・・」
「そんなわけありません。機嫌が良い時、ナイン様は良く俺に話してくれてました。
自分が一番尊敬している男の本喰人は6冊目だったと。」
ノウェムはそう言うと、笑顔で拙者の顔を見た。
拙者はその顔を見て、ノウェムは嘘をついてはいないと確信した。
ノウェムをこのまま失うのは悲しすぎると思った拙者は、
ノウェムに知っている情報の一部を与え、忠告してやった。
「7冊目は9冊目を2冊目に売り渡し、自分だけ助かろうとしている。
それにお前の眷属の1冊のどちらかは、すでに2冊目の軍門に下っている。」
「そんな・・・ヴァンダムどころか、ファウヌスまで・・・」
拙者の話にノウェムは絶望的な顔をしていた。
1冊だけが裏切っているなら、まだどうにかなると考えていたのだろう。
だが拙者の情報で真に9冊目を守ろうとしているのは、
自分だけだとわかってしまったのだ。
拙者が逆の立場だったら、同じように絶望を感じたことだろう。