このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「なーんだ。喧嘩にならなかったのかよーつまんねぇー」

ツヴァイとの会話を終えると、横から野次馬の声がした。
過去のツヴェルフと呼ばれてた頃の12冊目だった。

「そんなに残念だったのか?ツヴェルフ?私とゼクスが喧嘩にならなくて?」
「そりゃー1度は見てみたいだろ?ツヴァイとゼクスの本気の喧嘩だぜ?
どっちが勝つのか俺にも予想出来ないぜ!!」
「何を馬鹿なことを。
だったら余が今からお前と戦ってやってもいいぞ?ツヴェルフ。」
「あー今はいいや。今のゼクスと戦ったら、俺のことを本気で殺そうとして来るだろ?
そんな顔してるからな。」
「察しがいいなツヴェルフ?なら余計なことは言わないことだ。」
「ちぇ。また何でもお見通しかよ。ツヴァイ。
あーあーつまんねぇー俺は外に行ってくるわ。」

ツヴェルフはつまらなさそうな顔をしながら、部屋を出て行った。

「ふっ。あんなとこは、まだ無邪気な子供だな。ツヴェルフは。」
「ツヴァイも大概ツヴェルフには甘いのではないか?」
「気持ち悪い事を言うなゼクス。甘やかすなどするものか。
今後は私達の仲間として1冊目達と本格的に、
戦えるようになって貰わないと困るのだからな。」
「確かにそうであるが。」

拙者とツヴァイはツヴェルフに呆れつつも、
お互いに手のかかる弟だから仕方がないかと言った感じで、
この場での会話は終わった。
それにしても、あんな風に言いながらもツヴェルフも内心では、
心配していたのではないかと拙者は今ならそう思う。
拙者とツヴァイが仲違いして、この同盟が無くなれば、
ツヴェルフにしたって良い事はあるまい。
あいつだって、なんだかんだと拠り所にして場所を失いたくないはずだ。
拙者だってそれは同じだ。
なのに、今回はあの9冊目を助けてしまった・・・
助けたと言われてしまうが、拙者的にはそこまで手厚く助けたつもりはない。
最後の最後に命だけは見逃しただけだ。9冊目のあの眷属に免じて。

「9冊目は未熟だったかもしれないが、眷属のあやつだけは見所のある奴だった。
あやつにで出会わなければ、余も躊躇いなく、あの時9冊目を殺していただろうな。」

拙者はそうなった経緯を思い出そうとしていた。
あれは7冊目と9冊目がアメリカに行って数年後に、
ツヴァイの使いを邪魔したと連絡が来た時のこと。
実に情けない計画で、ツヴァイが集めた「禁断の本」を、
あの2冊達が横取りしようとしていた。
もちろんこれにはツヴァイも珍しく怒りを露わする。
アメリカでの「禁断の本」集めは、あのツヴァイでも思いのほか骨の折れる作業だったようで、
それを予期もしてなかった相手が、更に馬鹿にしたような幼稚な作戦で、
喧嘩を売ってくるような真似をしたのだから、余計にツヴァイが激怒したのだ。

「ふざけた真似をしてくれる。
この私から奪おうと言うのだからな。誰に喧嘩を売ったのか、
徹底的に知らしめる必要があるな。
他の奴らへの牽制になるくらいにな?」

とツヴァイは拙者達に言うくらいであった。
拙者の横では4冊目ことフィーアが少し震えていた覚えがある。





62/80ページ
スキ