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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「今回は良い返事は貰えそうにないみたいだね?」
「悪いが今の俺では11冊目や5冊目の期待に応えれる気がしないな。
どうしても俺じゃなきゃ駄目なのか?」
「12冊目の元眷属であった君だからこそ頼める事だからね。」
「随分とそこにこだわるんだな?
そうでなければ、親父と11冊目で話し合いをしてくれた方が、
俺は気が楽になるんだけどな。
それでは駄目なのか?」
「私も5冊目も必要としてるのは君だけだ。
極力は他の本喰人には関わりたくないのでね。」

11冊目は薄っすらと俺に笑い、そう答えた。
向こうは向こうで譲れない事情があるってことか。

「となると、俺が協力すると言わない限りは、
12冊目をどうしてそこまで危険視してるかも教えて貰えないってことか?」
「残念だけど、お互いに信頼出来ない状態だからね。
悪いけど、詳しくはこちらもこれ以上は話せない。
5冊目の考えが今後変わったら、話せる時が来るかもだけどね。」
「そうか。なら今は俺も無理にことはしない。」
「でも出来るなら、今一度考え直して欲しい。
過去の12冊目がどんなに危険だったのは、君も覚えているはずだ。」
「確かにあいつは危険な奴だったよ。今はどうだか知らないけどな。
でも、それを言うなら2冊目だって相当に危険なはずだが?」

俺は最後に軽い探りのつもりで11冊目にこう言った。
11冊目は何も言わずに黙ったままだった。
もうこれ以上は無駄にしゃべらないってことか・・・

「間を空けてから、、また君に聞きに来るよ。
それまでには7冊目と相談も済ませておいてくれ。
別に私達は君に仲間になって欲しいわけじゃないんだ。
12冊目の今後の対応の為に、君から一時的な協力が欲しいだけと言う事を伝えてくれ。」
「わかった。親父にはその様に言っておく。」
「では。これで失礼するよ。」
「ああ。」

俺達はその場で別れた。
11冊目は普通の人間の様にゆっくりとした足取りで帰っていく。
俺は11冊目の姿が見えなくなるまで見送っていた。
さて親父になんと言えばいいのやら。
11冊目は親父の周りを嗅ぎ回るフリをして、
実は俺に用があったと言えばいいんだろうけど、
親父がそれですぐに納得してくれるだろうか?
親父だけでなく、アテネやアフロディーテ達もすんなりとは納得してくれなさそうだ。

「転生しても俺に迷惑かけてくるとか・・・
俺にとって12冊目はマジで今後も迷惑な存在になりそうだな。」

いっその事、11冊目達の提案に乗るべきだったか?
そしたら俺も煩わしい思いをしなくて良かったかもしれないよな。
でもそれには今の生活を捨てなければならないリスクもあった。
俺はまだまだジェシーから美味しい食事を貰いたいし、
やっぱりこの生活を12冊目の為なんかに捨てるのは勿体ないな。

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