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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「どうして11冊目が、俺なんかに用があるんだ?」

俺は冷静になって11冊目の顔を見ながら質問した。
11冊目は静かに目を閉じて、俺の質問に答える。

「君は大体想像はついてるんじゃないかな?」
「やはり12冊目のことでか?」
「そうだね。君は過去に12冊目の眷属だったんだろう?」
「遥か昔のことだけどな。
それに今の俺は7冊目のおかげで昇格し、本喰人になれた。
今の12冊目が俺をどうにかしようとしても無理なはずだ。
しかも、今の12冊目は覚醒したとは言え、
まだ完全に自分の過去を思い出したわけじゃないんだろう?」

俺は自分が知っている限りの情報を11冊目に話した。
11冊目は閉じていた目を開くと、ジッと俺の顔を見て、
力強い声で俺にあることを言う。

「12冊目が危険な存在であるのは、今も変わらないと私も5冊目も思っている。
だからこそ、過去に眷属であった君に12冊目をどうにかして貰いたいと思ってるんだ。」
「どうにかして貰いたいって・・・」

11冊目の言い様に俺は戸惑った。
どうにかしろって、どうしろって言うんだ?
いくら俺が過去に12冊目の眷属であったことはあっても、
出来ることなんか全然ないと思うんだが。

「俺に12冊目を倒せとでも言うのか?11冊目は?」
「倒すと言うのは穏便ではないが、最悪の場合は封印するのを、
手伝って貰えないだろうか?」
「12冊目を封印する?俺がそれを手伝えと?」
「出来るのであれば、君に頼みたい。」
「けど、どうしてあんたにしても5冊目も、12冊目を危険視するんだ?
今までは誰が争っていても、ギリギリまで手を出さなかったんじゃないのか?」
「今の12冊目は特別なんだそうだ。5冊目が言うにはね。」
「特別だって・・・?」

なんだそりゃ?俺には意味がさっぱりわからない。
確かに中巻クラスで覚醒したなんて、今のところでは12冊目しかいないようだが。
でも5冊目の言う特別とは、もっと違う何かを指してる感じそうだ。

「でも悪いが俺だけで答えるわけにはいかないな。」
「7冊目の承諾も必要と言う事かい?」
「ああ。今の俺は7冊目には恩義があるからな。
勝手に自分の身の振り方を決めるわけにはいかないんだ。
7冊目に裏切り者だと思われるのも嫌だしな。」

俺は何も隠す事なく自分の身の上を11冊目に話した。
はっきり言って、今のこの生活を俺は手放したくはない。
親父に恩義があると思っているのも正直なとこだし、
俺は親父にまだ恩義を返せてない。
この状況で裏切るような行為は絶対にしたくないのだ。
12冊目については、いつか俺なりにケリをつけるべきだとは考えている。
考えてはいるが、殺したいのか?と言われれば違う気がする。
それに今の俺だけでは、まだ12冊目は倒せないだろうから、
無理に関わりたくないところだな。
だからいきなり現れた11冊目の提案に、乗るメリットが俺にはないのだ。
後、5冊目と11冊目がそこまで12冊目を危険視してる理由すら、
まだ聞いてないんだからな。

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