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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「もし11冊目本人だったら、無理に連れて来なくていいって。」
「え?親父がそう言ったのか?」
「そうよ。」
「どうしてだ?最初はどうあっても連れてこいって言ってたのに。」

俺は親父の急な心変わりに驚いて、ついアフロディーテに悪態をつきそうになった。
アフロディーテは呆れたようなため息をついてから、俺に理由を話し始めた。

「5冊目に自分の印象を悪くさせない為よ。
11冊目に嫌われることをしたくないみたいね。
要は5冊目側を敵に回したくないってわけ。
だからあの人は急に無理に連れて来なくていいってことにしたのよ。
ハーフが11冊目と戦っても何も良い事ないからね。」
「でも、だからって本当に11冊目本人だったら、何もしなくていいって言うのか?
俺が上手く11冊目を説得して、親父と少しくらいは会話しておいた方がいいんじゃ?
お互いに今後の事だってあるだろうし・・・」
「それはあんたの考えでしょ?あの人はそれすら必要ないって言うんだから、
あの人の指示に従えばいいのよ。」
「親父がそう言うなら、俺は素直に従うしかないが・・・」

俺は何か腑に落ちなくて、アフロディーテに食い気味に話してしまった。
まぁ親父がそれでいいって言うなら、彼女の言う通り俺にはどうしようもない。

「わかった。親父の言う通り、そいつが11冊目本人だとわかれば、
それ以上は特に何もしないことにするよ。」
「なんか返事の仕方が納得したようには感じられないけど・・・
ま、いいわ。じゃーね。」

アフロディーテはそう言って俺との電話を切った。
にしても、問題は俺が今探している奴が11冊目本人と、
きちんと確認できるかどうかだよな。
親父なら会ったことあるかもしれないが、俺は今まで11冊目には会ったことがない。
相手の言い分を信じるしかない状況だが、親父的には今回のことは、
急に深入りしたくなくなったみたいだな。

「親父に何かあったのか?だったら、アテネが何か言ってきそうだよな。
でも俺に連絡してきたのは、アフロディーテだったし・・・」

俺は悩みながらも、写真の男を求めて他の教会に出向いた。
とにかく俺がそいつに会ってみないことには何もわからないだろう。
俺の読み通り11冊目本人なのか?偽者なのか?
どちらにしても、親父の周りを嗅ぎ回るのはどうしてなのかも、
聞き出さなければならないのは変わらないはずだ。

「まさか親父じゃなくて、アテネとかそっちに用があるってこともあるのか?」

俺はそんな可能性もあるのでは?と考えてみたが、
もしそうなったら、そうなったで面倒なことになりそうで、
頭が痛くなりそうだから無駄に考えないことにした。
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