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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

次の日、俺は写真で確認した教会を何か所か見に回った。
けど、どこの教会も特に何かあるあるわけでもなく、
午前11時になって、もしかしたら向こうから何か接触があるかと期待したが、
それは特になかった。
俺が少しがっかりした気分でいると、携帯が突然鳴る。

「ん?誰からだ?えっと・・・
げっ!アフロディーテからか?!」

自分の携帯から相手の番号を確認して、俺はギョッとしてしまった。
こんな時に限って、親父の娘達の中で俺が一番苦手な奴から電話がかかってくるとか。
俺は嫌な予感を感じながらも、電話に出るしかなった。
どうせ今無視したところで、後で電話に出なかったのなんだのって、
嫌味を言われるに決まっている。
なら素直にすぐ電話に出た方がまだマシだ。

「なんだ?アフロディーテか?何か用か?」
「何か用か?じゃないわよ。例の邪魔者は見つけられたのかしら?」
「いや、まだ探してる途中だが・・・」
「ほんとトロいわね。あんたは。
そんなんじゃ、あの人の部下をクビになるんじゃないの?」
「そうならないように、今頑張ってるところなんだが?」

電話に出て早々に俺に遠慮なく嫌味を言ってくるアフロディーテに、
俺は心底うんざりした。
用事がないなら、さっさとこんな電話を切ってやる。

「嫌味を言いたいだけなら、悪いが電話切るぞ?」
「ちょっと!待ちなさいよ!
私がそれだけの為に、あんたなんかに電話するわけないでしょ?
少しは考えなさいよ。大馬鹿。」
「じゃあ、さっさと要件を話してくれ。」

俺は何とかイライラした気持ちを抑えて、アフロディーテとの電話を続ける。
自分から連絡したくないなら、アテネに頼めばいいのに。
ま、アフロディーテはアテネとも仲は良くないから無理か。
親父を取り合って、昔はよく喧嘩してたらしい。
と言っても、アテネは全然アフロディーテの相手なんかしてないよな。
どっちかと言えば、アフロディーテが勝手にアテネに嫉妬して、
アテネを毛嫌いしているような感じか?

「いい?ちゃんと聞くのよ?」
「はいはい。ちゃんと聞いてるよ。」
「あの人が言うには、あんたの読みはあってそうよ。」
「俺の読み?ってことは、親父の周りを嗅ぎ回っているのは、
11冊目の可能性が高いってことか?」
「らしいわ。しかも11冊目本人じゃないかって。」
「マジか・・・」

俺はアフロディーテを通じ、親父からの言葉で、一瞬だけ気が抜けそうになった。
だとしたら、何で11冊目は直接親父の所に出向かないんだ?
こんな敵だと疑われるような怪しい行動に出る?
俺は軽く混乱しそうになった。
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