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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「親父の頼まれ事で俺は場合によっては数日家には帰ってこれないかもしれない。
だから戸締りはいつも以上にしっかりしろよ?」
「うん。わかった。」
「食事もお菓子みたいなのじゃなくて、しっかり食べろよ?」
「わかってるってー♪ハーフは私のお母さんみたい♪」
「あのな・・・」

俺はジェシーに自分の今後の予定も話しておいた。
しかしジェシーは俺から貰った本を早く読みたいらしく、
うずうずしていてちゃんと聞いていなかった。
こんな調子で大丈夫なのか、俺は不安になったがこればかりは、
ジェシーの心持ちだからどうにも出来そうにない。
こんな機嫌の良い時に怒れば、また喧嘩になっても困るしな。
俺的には仲直りも兼ねてプレゼントしたとこもあるんだし。

「ふぅ・・・このまま話しても、ちゃんと話聞きそうにないから今日はこれでいいわ。」
「ごめんって!だってこの本がすっごい気になるんだもん・・・」
「とにかく俺がいない間は戸締りだけはしっかりしてくれよ?」
「うん!絶対にちゃんとする!そこは必ず守る!」
「んじゃ、俺は自分の部屋に戻るわ。」
「わかった。ハーフ、プレゼント本当にありがとうね♪」
「ジェシーがそんなにも喜んでくれたんなら良かったよ。」

俺はジェシーに呆れながらも最後は苦笑いして自分の部屋に戻った。
親父からも注意されたこともあるし、今の興奮が冷めて、
冷静に戻ったらジェシーも小さい子供じゃないんだから、
ちゃんと俺の言う事を守るだろう。
いざって時はアテネにも頼るしかないかな。
自分の身に降りかかることなんだから、しっかりして欲しいとこだが。

「こいつが今回の俺のターゲットか・・・」

ベッドに寝転がり、俺は親父に渡された写真を今一度じっくりと見た。
顔だけは撮られないように上手く逃げている辺り、
親父の裏組織の部下達はさぞイライラさせられただろうな。

「何でこいつは親父を挑発するようなことするんだ。
おかげで俺に余計な仕事が回ってくることになったしよ・・・」

写真の相手に俺は愚痴をこぼした。しかし一体誰なんだ・・・
何か用事があるなら、親父に直接会話してくれればいいのに。
俺はそう思いながらも、数枚の写真を見て、ある違和感に気づいた。

「こいつ・・・まさか・・・撮られた場所に何か意味を持たせようとしてるのか?」

それに気づいた俺は、ベッドの上に写真を並べて推理を始めた。
写真から何かわかることがあるなら、俺としては助かるが・・・
こいつの罠にハマることだけは避けないとな。

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