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第2章「共同戦線」

俺は、トワに9冊目に会う前に、出来る限り教えられることは、
先に教えておこうと思った。
でなければ、また変な勘違いをされて、会話を邪魔され、嫉妬されたりしても困る。
9冊目は普段は海外で暮らしているので、会える時間が限られるからだ。
待ち合わせ時間には、まだ5時間もある。2、3時間もあれば、
流石に一通りの事は教えられるだろう。

「いいか、トワ。9冊目は始めに言っておくが、俺の恩人だ。」
「十二の恩人?そうなの?」
「そうだ。俺が大事な友を亡くした時に、俺は一時的に飯を喰べることが
出来ない時期があったんだ。それを克服出来たのは、9冊目のおかげなんだ。
その話は、今度、詳しく話すから、今はとりあえず、恩人とだけは、覚えておいてくれ。」
「うん、わかった。」
「それから、9冊目には、人間の旦那がいる。9冊目も、普段は
人間として生きているんだ。それから、子供もいる。」
「え?!人間として暮らしてるの?!お子さんもいるの?!」
「そうだ。だから、絶対に、他人に本喰人だとバレないように、接してくれ。」
「わ、わかったわ!」
「とりあえず、今の苗字はフログベルデらしいから、苗字で呼ぶようにな。」
「うん!苗字で呼ぶようにする!」

トワは、とにかく9冊目にますます興味深々なようだ。
トワの目が、物凄くキラキラとしている。

「それから、身なりとか、礼儀もしっかりな。9冊目は、英国貴族で
実業家の旦那の嫁なんだ。9冊目はあんまり気にしないけど、
周りの目もあるからな。そこも注意な?」
「わ、わかった。」
「後は、9冊目の子供だが、多分トワと同じ、9冊目の眷属だ。
眷属同士だから、どうとかなると思わないが・・・
とりあえず、9冊目の性格からして、甘やかしてるだろうから、
そこはトワが大人になって接しろよ?」
「その子達の方が、トワより年上じゃないの?」
「年的には上のはずだが、今の性格は、俺にもよくわからん。
ま、とにかく、喧嘩はするなってことだ。わかったか?」
「喧嘩しなければいいね?わかったわ!」

トワは俺にしっかりと頷いてみせた。俺も、トワなら大騒ぎに
なることはないと思っているが、念には念を押す。
俺が過去に9冊目の子供達にあった時には、散々悪戯されたので、
あの時を思い出すと、ちょっと胃が痛い。

「あ、後な、トワ。」
「うん?何?」
「言っておくけど、俺は過去に9冊目と恋人だったとかないからな?勘違いするなよ?」
「そ、そんなの!わかってるもん!恩人なんでしょ?!」
「そう、恩人な!」
「何よ!私だって、それくらいわかるもん!」

と、トワは怒ってくる。この前は、13冊目との俺の関係を
誤解してたくせに。
ちゃんと教えたら、それはそれで怒ってくるとか、意味がわからん。
女心って言うのは、複雑なんだなぁーと俺は思った。
そんな事がありつつも、トワも俺もそれなりの身支度をして、
夜の7時に少し前に、約束した場所に着くように行動した。
楽しみ半分、緊張半分のトワは、ソワソワとしていた。
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