第9章「交錯しあう気持ちと確認」
「そんで?今回も親父絡みの事件なんだろ?」
俺は事務所を出てから、人目を気にしつつ、あるところにすぐ電話をした。
「あら?早い電話ね。今日は仕事を休むと思ったのに。」
「どうせ休ませる気ないだろう?親父絡みの事件だったら、
俺が行くしかないんだし。」
「フフ。そうね。ハーフでないと無理な仕事ね。」
電話の相手こと14冊目は明るい声で俺にそう答えた。
どのみち俺は、結局のとこ休ませて貰えないんじゃないか。
14冊目はいつもこんな感じだ。
「で、所長どの?今回の本来の仕事はどんな要件なんだ?」
俺はやれやれと言った雰囲気を出しながらも14冊目に確認した。
実はビックもナタリーも知らないが、あの探偵事務所の本当の主は親父こと7冊目だ。
今の親父は裏世界のボスをしているが、時に14冊目に任せている探偵事務所を使う事もある。
つまり裏でも表でも便利に使える駒を持っているわけだ。
自分の食事などを用意する目的の為に。
「モリヤ教授が最近書かれた数学の論文を手に入れるのが、
今回の7冊目の目的よ。」
「またかよ。親父はどんだけ最近論文にハマってんだよ。」
「しょうがないでしょ?あの教授は自分の論文をまず手書きしてから、
パソコンに打ち込む人みたいね。
だから7冊目はその教授の手書きの方の論文が欲しい・・・
と言うか喰べたいそうよ。」
「っつたく・・・どこからそんな情報を手に入れるのやら・・・」
俺は14冊目と電話をしながら、親父の食事に呆れた。
親父は何年前か忘れたが、今は本よりもこうした有名な大学教授の論文を、
喰べるのにハマっている。
親父曰く、下手な小説家の作品や本を食べるよりも繊細で美味らしい。
予約も難しそうな有名な三ツ星レストランのシェフのフルコースを、
喰べているような気分になるそうだ。
「世に何かを発表しようと必死になって書く奴らの作品だ。
気持ちが籠っているのは当たり前だし、作成されるのだって時間もかかる。
経験も必要だし、熟成された考えを味わえるのは最高に旨いぞ?」
過去に親父がノーベル賞を取ってもおかしくないと言われた研究の論文を、
食べていた時に言っていたセリフだ。
俺はこの時に本喰人は本じゃなくても食事に出来ることを知った。
でも俺は親父みたいに論文を食べたいと思ったことはない。
俺的には量が少なすぎるんだよな・・・
ならその論文が世に出て、本に纏まった時に喰べたいほどだ。
でもそう親父に言ったとこで親父は俺を馬鹿にしそうだな。
「手書きの論文を自分の家で何にも邪魔されずにゆっくりと喰うからこそ、
最高の瞬間なのに馬鹿だな。」
とか言いそうだ。あの親父なら・・・
しかし親父クラスの本喰人でもなければ、おいそれと簡単に有名大学の教授の論文を、
手に入れるのは不可能なんじゃないか?
少なくても俺にはそんな環境はない。
「親父がその手書きの論文を喰べたいのはわかったとして、
今回はどんな風に手に入れるんだ?」
「今回はその論文を誘拐事件を解決した報酬として受け取ってこい。だそうよ?」
「マジかよ・・・」
面倒なことになりそうだと俺は思った。
どうせその論文の為に、今回は教授の娘を誘拐したわけか・・・親父め。
裏世界の自分の部下に誘拐させておいて、表の俺達にそれを解決させる。
7冊目の目的の為だけに、こんな大掛かりなことをいつも平気でするのだ。
巻き込まれた人間達は何も知らない。
7冊目のこんな我が儘に振り回されていることなど。
この真実を知っているのは本喰人である俺達だけなのだ。
だから14冊目は毎回俺に言うのだ。俺しか出来ない仕事だと。
俺は事務所を出てから、人目を気にしつつ、あるところにすぐ電話をした。
「あら?早い電話ね。今日は仕事を休むと思ったのに。」
「どうせ休ませる気ないだろう?親父絡みの事件だったら、
俺が行くしかないんだし。」
「フフ。そうね。ハーフでないと無理な仕事ね。」
電話の相手こと14冊目は明るい声で俺にそう答えた。
どのみち俺は、結局のとこ休ませて貰えないんじゃないか。
14冊目はいつもこんな感じだ。
「で、所長どの?今回の本来の仕事はどんな要件なんだ?」
俺はやれやれと言った雰囲気を出しながらも14冊目に確認した。
実はビックもナタリーも知らないが、あの探偵事務所の本当の主は親父こと7冊目だ。
今の親父は裏世界のボスをしているが、時に14冊目に任せている探偵事務所を使う事もある。
つまり裏でも表でも便利に使える駒を持っているわけだ。
自分の食事などを用意する目的の為に。
「モリヤ教授が最近書かれた数学の論文を手に入れるのが、
今回の7冊目の目的よ。」
「またかよ。親父はどんだけ最近論文にハマってんだよ。」
「しょうがないでしょ?あの教授は自分の論文をまず手書きしてから、
パソコンに打ち込む人みたいね。
だから7冊目はその教授の手書きの方の論文が欲しい・・・
と言うか喰べたいそうよ。」
「っつたく・・・どこからそんな情報を手に入れるのやら・・・」
俺は14冊目と電話をしながら、親父の食事に呆れた。
親父は何年前か忘れたが、今は本よりもこうした有名な大学教授の論文を、
喰べるのにハマっている。
親父曰く、下手な小説家の作品や本を食べるよりも繊細で美味らしい。
予約も難しそうな有名な三ツ星レストランのシェフのフルコースを、
喰べているような気分になるそうだ。
「世に何かを発表しようと必死になって書く奴らの作品だ。
気持ちが籠っているのは当たり前だし、作成されるのだって時間もかかる。
経験も必要だし、熟成された考えを味わえるのは最高に旨いぞ?」
過去に親父がノーベル賞を取ってもおかしくないと言われた研究の論文を、
食べていた時に言っていたセリフだ。
俺はこの時に本喰人は本じゃなくても食事に出来ることを知った。
でも俺は親父みたいに論文を食べたいと思ったことはない。
俺的には量が少なすぎるんだよな・・・
ならその論文が世に出て、本に纏まった時に喰べたいほどだ。
でもそう親父に言ったとこで親父は俺を馬鹿にしそうだな。
「手書きの論文を自分の家で何にも邪魔されずにゆっくりと喰うからこそ、
最高の瞬間なのに馬鹿だな。」
とか言いそうだ。あの親父なら・・・
しかし親父クラスの本喰人でもなければ、おいそれと簡単に有名大学の教授の論文を、
手に入れるのは不可能なんじゃないか?
少なくても俺にはそんな環境はない。
「親父がその手書きの論文を喰べたいのはわかったとして、
今回はどんな風に手に入れるんだ?」
「今回はその論文を誘拐事件を解決した報酬として受け取ってこい。だそうよ?」
「マジかよ・・・」
面倒なことになりそうだと俺は思った。
どうせその論文の為に、今回は教授の娘を誘拐したわけか・・・親父め。
裏世界の自分の部下に誘拐させておいて、表の俺達にそれを解決させる。
7冊目の目的の為だけに、こんな大掛かりなことをいつも平気でするのだ。
巻き込まれた人間達は何も知らない。
7冊目のこんな我が儘に振り回されていることなど。
この真実を知っているのは本喰人である俺達だけなのだ。
だから14冊目は毎回俺に言うのだ。俺しか出来ない仕事だと。