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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「〇×大学のモリヤ教授からの依頼だ。
昨日の夜に犯人から、娘は攫ったので身代金を送れと連絡があったらしい。」
「〇×大学の数学教授のあのモリヤ教授ですか?!!」
「なんだ?ハーフ?知り合いなのか?」
「あ、いや。ただ名前だけ知ってるだけだ。」

俺はビックから依頼主の名前を聞いて驚いてしまった。
こんなタイムリーなことがあるのか?
ついさっきまで俺が読んだ作品の主人公のモデルの人物だぞ?
つまりナタリーの大学の数学教授ではないか。
俺は実際に会ったことはないが、ナタリーには過去に写真を見せて貰いながら、
このモリヤ教授がいかに紳士でイケメンかを聞かされたことがある。
しかもモリヤ教授は日本にも縁があるみたいで、モリヤ教授の父親だかが日本人らしい。
だから日本で暮らしたことがあるジェシーと共通の話題が、
あったこともジェシーにはかなり嬉しい事だったらしい。

「教授が結婚してなかったら、私狙ったかもしれないわ♪」

とか笑顔で言ってたっけか?歳は40歳を超えてるはずだが、ジェシーには関係ないらしい。

「それでだ。教授はこの件を大事にしたくないらしくてな。
警察には頼らずに、俺達の事務所で解決して欲しいらしい。」
「ええ?!何で?!娘さんのことは心配じゃないんですか?!」
「心配は心配らしいが、どうやら犯人の目星がついてるらしくてな。
その犯人側は自分同じ大学で敵対している派閥の誰か・・・らしい。」
「なるほど。警察沙汰にして大騒ぎすると、最悪はお互いの名誉が傷つくな。」
「だからって・・・相手は自分の娘を誘拐するような奴なのに・・・」

ナタリーはビックの話を聞いて納得出来ないようで、不満げな顔をしている。
でも警察に頼られたら、俺達に仕事が来ないんだけどな。

「これは身代金の他にも何かありそうだな・・・」
「そう思うだろ?ハーフ?俺もだ。」
「身代金の他に何があるって言うの?」
「それは当人からも聞かないとわからないさ。ナタリー。」
「と言う訳でだ。ハーフはその教授の元に行ってくれるか?
事情を聴いてきて貰いたいんだ。」
「いいぜ。どうせそれが所長の命令なんだろう?」
「流石、ハーフはわかってるな。」
「ええーハーフだけで行くの?」
「そうだ。所長はハーフだけで行かせろだとよ。」
「いつものことだからいいけどさ・・・」

ナタリーは何が羨ましいのか、少し俺をじっと見た。
所長に頼りにされていると言うのが羨ましいっぽいな。
俺には迷惑なことこの上ないのだが、代わってやれるなら、
いくらだって代わってやってもいいんだけどな。

「じゃあ行ってくるが、モリヤ教授は今どこにいるんだ?」
「今は自宅で奥さんといるらしいぞ。」
「自宅の住所は?」
「これだ。」

俺はビックが持ってるパソコンからモリヤ教授の自宅の住所を確認して、
そこに急いで向かう事にした。
今回の事件の話はジェシーにはしない方がいいな。
喜びそうな話題ではあるが、ただの誘拐事件じゃなさそうだ。

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