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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

俺はジェシーが俺の為に書いてくれた小説を堪能し、最低な目覚めが
最高の気分に変わった。
いやー昨日の夕食を食べてないのもあるかもしれないが、それでもジェシーの作品は良かった。
ストーリー的には今流行りと言うのか?
異世界転生もので、主人公は有名大学の天才数学教授らしく、
異世界に行っても自身の数学的知識のおかげで、
余裕で異世界に馴染んで暮らしていくと言うストーリーだった。
ジェシーにしては珍しいジャンルの話だったが、俺には最高に好みの話だった。
少し変わった恋愛の作品よりも俺はこっちの方が好きだな。

「それにしても、この数学教授って・・・まさかあいつの大学にいるあの教授がモデルか?」

俺は食事が済んでから、ジェシーの話を考察し始めた。
ジェシーが話を作る時は大体モデルがいるからな。
だから1から妄想で作られたキャラよりは味があると言うか、個性がしっかりしている。
良い意味でも悪い意味でも、それをジェシーは作品に活かす。
にしてもだ!いくら最近好きになった教授とは言っても、
ジェシーのやりたい放題にするのも、当人には気の毒な感じがする。
この話は俺しか読まない話ではあるが、俺はこの教授に同情していた。

「さて。ジェシーのおかげでやる気が出てきたな。
やっぱり仕事にでも行くか・・・」

携帯を確認するとビックから返事はきてなかった。
ビックはわりとすぐに返事するのに珍しいな。
何か取り込み中かもしれない。

「グダグダとメールでやりとりするのも面倒だ。
休むとメールしてしまったが、もう事務所に行った方がいいな。」

俺は身支度を済ませて、いつもの職場に向かった。
するとビックは深刻そうな顔をして、誰かと電話中だった。
俺はナタリーが離れた場所でそれを見守っているのに気づき、
ナタリーの側に寄り、何があったのか事情を聴いた。

「なんかねぇ・・・誘拐事件を解決して欲しいらしいよ?」
「え?誘拐事件か?」
「うん。どっかの有名な大学教授の娘さんが誘拐されたっぽい?
私もちゃんと話を聞いたわけじゃないけど、
ビックのさっきまでの会話を聞いてるとそんな感じ?」
「ふーん・・・誘拐事件か・・・物騒だな。」
「だよね。誘拐とかさ・・・何が目的だろうね?」
「さぁーな。犯人には何かしらメリットがあるんだろうけどな。」

俺はナタリーと一緒にビックの電話が終わるまで、ビックの邪魔にならない程度に、
ナタリーと会話しながら待った。
俺が事務所に着いてから10分後くらいにビックの電話が終わった。
ビックは俺が事務所に来たことに今気づいたらしく、安堵した顔を俺に向けてきた。

「お!ハーフ来てくれたのか!」
「すまんビック。休むってメールしたんだが、あれから体調が良かったから、やっぱり来た。」
「いいや!来てくれて助かったぞ!ハーフがいないと今回の仕事はきつそうだったからな。」

ビックはニヤリと笑って、俺とナタリーに今さっきまでしていた電話の話を聞かせた。

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