第9章「交錯しあう気持ちと確認」
「俺達は時々姿を変えたりしながら、リィベル・・・
って言うのが彼女の名前なのですが、彼女の家族と言うか一族を、
裏からも手助けしてました。」
「最初に僕達を助けてくれた彼女の一族の人にかなりの恩義があってね!」
「恩義?」
「はい。実は俺達を最初に助けてくれた人の名前も、
実はリィベルと言う名前の女性だったんですが・・・」
15冊目は俺に淡々と事情を話してくれた。
15冊目と16冊目はそれぞれが何度か転生した後に、
初代のリィベルがいた国で出会い、意気投合してから今までずっと一緒にいるのだと言う。
「あの頃はお互いに能力も未熟で、食事をするのも最低な方法でしか出来ませんでした。」
「最低な方法って言うと・・・盗みとかか?」
「うん。あの頃の僕達は何もわかってなかったんだ。
自分達本喰人と人間の違いも・・・」
「大変な時期があったんだな。」
俺は彼らに同情しつつも話の続きを聞く。
「ある時にとうとう盗みがバレて、俺達は店の人間含めて、ボコボコにされましてね。
普通の人間なら、とっくに死んでいる程の暴力を受けたんです。」
「そりゃ・・・酷いな・・・」
「でしょ?けどさ、盗んだ僕らも悪いから、今ならあいつらを恨むのは、
お門違いだったってわかるけどさ。」
「で、それからどうなったんだ?」
「そこに初代のリィベルが俺達を庇ってくれたんです。
俺達が盗んだ本代を払うから、許してあげてくれと・・・」
「随分と心優しい人間がいたんだな。見ず知らずのお前達を助けるなんて・・・」
「はい。彼女は馬鹿がつくほどのお人好しでした。
俺達を助ける為に使ったお金は、重い病気に罹った母親に、
使う為の大事な医者代だったはずなのに、
見ず知らずの俺達を助ける為に使ってしまったんですから。」
「筋金入りのお人好しだったみたいだな。」
「今のリィベルも、彼女に負けずにお人好しでいい子だけどね。」
「おいダイス。話を逸らすな。」
「ごめん、ごめん。」
ダイスは穏やかな顔をしながら、ベリーに注意されている。
2冊達の話し方からして、相当に今のそのリィベルとその家族を慕っているのが、
俺にも伝わってきた。
「それで話は戻しますが、彼女はその場で俺達を助けてくれただけでなく、
家に連れ帰ってくれて、家族として迎い入れてくれたんです。」
「リィベルの母親も凄く優しい人でさ。
自分の大事な医者代が無くなったのに、僕達に怒るどころか、
助かって良かったね!って喜んでくれたんだよ?」
「ほう。彼女の優しさは母親譲りってとこか?」
「はい。それに彼女の父親もいい人でしたよ。
娘のしたことを誇らしげにしてましたから。」
「でも大事な医者代が無くなってしまったんだろう?
そのリィベルはその後はどうするつもりだったんだ?」
俺がそう質問すると、15冊目と16冊目は少し悲しげな顔になった。
「あの時の彼女は身売りをしようと考えていたみたいです。」
「マジか・・・そこまで大事な金だったわけか。」
「そう。だから僕達はここまでしてくれた彼女に恩を感じて、
必死にお金集めとかしたんだよ。」
「どうやってだ?」
「実は運がいいことに、俺は薬剤や医学に関する本を盗んで食べていたのです。
だから俺は自然の中にある薬草などで彼女の母親の病気の治療をすることにしたんです。」
「僕は音楽に関する本とか盗んでいたから、路上で楽器の演奏したりして、
投げ銭を集めたりもしたよ。
後はこっそり大人のギャンブルに紛れ込んで稼いだりね。」
「凄いな。本喰人の能力を生かしたわけだ。」
俺は15冊目達の話を聞いて、心底感心していた。
ついでに「幸運の女神に拾われたんだな。」と俺が15冊目達に言うと、
15冊目達は嬉しそうに笑って返事した。
確かに彼女は自分達の幸運の女神だと。
って言うのが彼女の名前なのですが、彼女の家族と言うか一族を、
裏からも手助けしてました。」
「最初に僕達を助けてくれた彼女の一族の人にかなりの恩義があってね!」
「恩義?」
「はい。実は俺達を最初に助けてくれた人の名前も、
実はリィベルと言う名前の女性だったんですが・・・」
15冊目は俺に淡々と事情を話してくれた。
15冊目と16冊目はそれぞれが何度か転生した後に、
初代のリィベルがいた国で出会い、意気投合してから今までずっと一緒にいるのだと言う。
「あの頃はお互いに能力も未熟で、食事をするのも最低な方法でしか出来ませんでした。」
「最低な方法って言うと・・・盗みとかか?」
「うん。あの頃の僕達は何もわかってなかったんだ。
自分達本喰人と人間の違いも・・・」
「大変な時期があったんだな。」
俺は彼らに同情しつつも話の続きを聞く。
「ある時にとうとう盗みがバレて、俺達は店の人間含めて、ボコボコにされましてね。
普通の人間なら、とっくに死んでいる程の暴力を受けたんです。」
「そりゃ・・・酷いな・・・」
「でしょ?けどさ、盗んだ僕らも悪いから、今ならあいつらを恨むのは、
お門違いだったってわかるけどさ。」
「で、それからどうなったんだ?」
「そこに初代のリィベルが俺達を庇ってくれたんです。
俺達が盗んだ本代を払うから、許してあげてくれと・・・」
「随分と心優しい人間がいたんだな。見ず知らずのお前達を助けるなんて・・・」
「はい。彼女は馬鹿がつくほどのお人好しでした。
俺達を助ける為に使ったお金は、重い病気に罹った母親に、
使う為の大事な医者代だったはずなのに、
見ず知らずの俺達を助ける為に使ってしまったんですから。」
「筋金入りのお人好しだったみたいだな。」
「今のリィベルも、彼女に負けずにお人好しでいい子だけどね。」
「おいダイス。話を逸らすな。」
「ごめん、ごめん。」
ダイスは穏やかな顔をしながら、ベリーに注意されている。
2冊達の話し方からして、相当に今のそのリィベルとその家族を慕っているのが、
俺にも伝わってきた。
「それで話は戻しますが、彼女はその場で俺達を助けてくれただけでなく、
家に連れ帰ってくれて、家族として迎い入れてくれたんです。」
「リィベルの母親も凄く優しい人でさ。
自分の大事な医者代が無くなったのに、僕達に怒るどころか、
助かって良かったね!って喜んでくれたんだよ?」
「ほう。彼女の優しさは母親譲りってとこか?」
「はい。それに彼女の父親もいい人でしたよ。
娘のしたことを誇らしげにしてましたから。」
「でも大事な医者代が無くなってしまったんだろう?
そのリィベルはその後はどうするつもりだったんだ?」
俺がそう質問すると、15冊目と16冊目は少し悲しげな顔になった。
「あの時の彼女は身売りをしようと考えていたみたいです。」
「マジか・・・そこまで大事な金だったわけか。」
「そう。だから僕達はここまでしてくれた彼女に恩を感じて、
必死にお金集めとかしたんだよ。」
「どうやってだ?」
「実は運がいいことに、俺は薬剤や医学に関する本を盗んで食べていたのです。
だから俺は自然の中にある薬草などで彼女の母親の病気の治療をすることにしたんです。」
「僕は音楽に関する本とか盗んでいたから、路上で楽器の演奏したりして、
投げ銭を集めたりもしたよ。
後はこっそり大人のギャンブルに紛れ込んで稼いだりね。」
「凄いな。本喰人の能力を生かしたわけだ。」
俺は15冊目達の話を聞いて、心底感心していた。
ついでに「幸運の女神に拾われたんだな。」と俺が15冊目達に言うと、
15冊目達は嬉しそうに笑って返事した。
確かに彼女は自分達の幸運の女神だと。