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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「おい!半人前!飯持ってこい!あ、後は服もだ!さっさとしろ!」
「ま、待って下さい!すぐ持ってきますから!」
「っつたくトロいんだよ!お前はいつも!マジでお前を喰うぞ?」
「ひぃいい!!やめてくださいよぉ!」

幼少の俺は12冊目に怒鳴られたり、脅されたりしながらも、
何とか生活していた。
12冊目の教育は最低も最低だったが、そんな俺に同情してくれて、
6冊目や、時に4冊目さえも俺に親切にしてくれたものだった。

「こら!ツヴェルフ!子供を嚇すんじゃない。ろくに教えもしない癖に、
一度に命令したらやれないに決まってるであろう。
もっとしっかりと優しく教えて、見守ってやるのだ。」
「ちぃ、ゼクスかよ・・・相変わらずだな。ならあんたが貰ってくれよ。こいつを。」
「それは出来ん。ツヴァイにお前の成長の為だから、極力は何もするなと言われたからな。」
「クソ、ツヴァイめ。余計な事を・・・」
「大丈夫か?エオ?」
「は、はい。有難うございます。ゼクス様。」
「いいのだ。またこのツヴェルフが、どうしようもない時は、余に言え。良いな?」
「はい・・・」

6冊目は俺に穏やかな顔でそう言ってくれたが、俺は怯えながら12冊目をチラっと見た。
12冊目はうざそうにしながら、俺を睨んで見ていたので最悪だった。
後でいびられるんだろうなぁ・・・きっと・・・
なんで自分は2冊目や6冊目の元で生まれなかったんだろう。
俺は悲しい気持ちになりながらも、何とか日々暮らしていた。
そんな日々の中で、ある日のことだった。

「ツヴァイ様の命で、一時的にお世話になります。
ツヴェルフ様の眷属の教育をお手伝いしろと言われましたので来ました。」
「お!お前か!すげぇー助かるぜ!お前なら、俺の事分かってるからな。
基本的なことを俺の代わりに教えてやってくれ。ファクト。」
「はい、かしこまりました。よろしく、ファクトです。」
「あ、よろしくお願いします!ボクはエオです!」

ファクトと呼ばれた、俺と同じ眷属のそいつは、2冊目よりは劣るにしても、
それでも十分な美貌を持った奴だった。手を差し出してくれて、
俺はファクトと握手をする。笑顔も眩しい。
そして俺よりも遥かに有能でもあった。
俺はこのファクトのおかげで、恐怖からの日々に解放されて、
自立して生きていける術を学ぶ。
12冊目から、お前は生意気になったと言われ始めたのも、
ファクトが来てから1年後くらいだったか?
俺にとっては、一番の恩人はファクトかもしれない。
ファクトは俺とは親友にもなってくれた存在だ。
だが俺はこのファクトに恩返し出来ないままで終わってしまった。
急に2冊目に呼び戻されて以降、連絡が取れなくなってしまったのだ。
今現在もどうしているのかも知らない。
2冊目の元に今でもいるのか、あるいは殺されたか、喰われたか。
俺よりも優秀な奴だったから、そんなことは無いだろうが、
でも会える機会があるなら、会いたいな。
ファクトもあれからどんな風に成長したのか・・・

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