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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「ほう?これがお前の初めての眷属か?想像していたよりは、使えそうじゃないか?」
「本気で言ってんのか?ツヴァイ?生まれたばっかりのガキだぞ?
何に使えるって言うんだ・・・」
「可哀想なことを言うな。お前でさえ、生まれたばかりの頃は何も出来やしなかったんだぞ?
何度、この私の手を煩わせたことか。」
「おい!やめろ!そんな太古の話は!!」

12冊目は俺を2冊目の前に突き出すと、こんな会話をし始めた。
2冊目は男とは思えないほどの美貌の持ち主で、
当時の俺は声や態度から男だと理解するのに時間がかかるほどだった。
だけど、当時の俺からすれば2冊目の方が穏やかで優しそうな雰囲気を感じたものだ。

「とにかくだ!俺じゃ育て方なんかわかんねぇよ。どうしたらいいんだ?」
「丁度いい機会だ。お前も自分の手駒を増やすべきかもしれんな。」
「俺がか?殺すか、共喰いするかしか知らない俺が育てられると本気で思えるのか?」
「何事も経験としか言いようがない。それに眷属を持ったと言う事は、
お前もやっと一人前の本喰人に成長したと言う事だ。
それにこれからもずっと私の眷属を使うつもりか?
そうなれば、またゼクスやフィーアに馬鹿にされるぞ?いいのか?」
「ぐぅ・・・それは嫌だな。」
「だろ?」

2冊目は12冊目と楽しそうに会話をしてから俺を見た。
そして、優しく俺の頭を撫でてきて、俺は心臓が止まりそうになった。

「ツヴェルフ。面倒臭がらずにちゃんと育ててやれ。
眷属は便利だぞ?人間など当てになりもしないが、自分の眷属だけは次元が違う。
きっちり教育してやれば、身の回りの世話から戦闘でさえ役に立つ。
今後の事も考えれば、1冊目側と激しい対立になった時に、
必ず役に立つはずだ。」
「ちぃ・・・ツヴァイがそこまで言うなら仕方がないな。
でも俺でもわからないことはお前に聞くけど、教えてくれるよな?」
「構わないさ。お前にはこれからも成長して貰わないと困るからな。私もな?」
「なんだよ、その言い方。胸糞悪。」
「ははは。酷い奴だ。こんな主だが頑張れよ?」
「は、はい。」

2冊目は目を細めて、俺に「頑張れよ」と言ってくれた。
当時は理解出来なかったが、俺は2冊目の言葉によって、生き延びれたのだ。
2冊目からもさっさと処分しろと言われたら、
俺は12冊目に殺されるか、喰われていたことだろう。
そうなれば、今の俺は存在出来なかったのだ。
だから周りがどんだけ2冊目は悪の根源だと言っても、俺には貸しがある。
当の2冊目はそんなつもりはないかもしれないが、俺には恩があるのだ。
この事があってから、12冊目は嫌な殺気を無くして、俺に接するようになり、
めちゃくちゃ不器用だが、俺を育てるようになる。
だが、俺は12冊目に恩は感じていない。
俺は12冊目にはちゃんと恩返し出来たと思っているからだ。
今現在の12冊目は、そんなことは全く知らないかもだけどな。
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