第9章「交錯しあう気持ちと確認」

俺が親父と呼んでいる人物は、もちろん人間で言うとこの父親なんかではない。
本喰人の生みの親など、遥か昔にとっくに死んでいる。
では、俺が何故そいつを親父と呼ぶかと言うと、本人がそう呼べと言ってきたこともある。
俺は過去に初めて親父と逢った時のことを思い出す。

「お前さん、あいつの元眷属なんだってな?」
「そうだけど?だったら、あんたに何かあんのか?」
「アッハッハッハ!実に生意気そうなガキだな!それにその目つき・・・
あいつの元眷属って言われても納得出来るってもんだ。」
「何が言いたいんだ?」
「俺様はひと目でお前が気に入った!
どうだ?俺様の手下・・・いや言い方が悪いな。
部下にならないか?お前にもいい話だと思うが?」
「はぁ?????」

俺は初対面でいきなりこんな提案をしてきた親父を、
心底不審に思ったのは言うまでもないだろう。
気が狂ったのか?と最初は思ったくらいだ。
もちろん、その場にはあの14冊目も居て、最初は俺の事を物凄く警戒していた。

「何を馬鹿な事を言ってるんですか?正気ですか?こんなモノを受け入れるなど・・・」
「俺様は正気も正気だぞ?いずれは、男の部下も欲しかったのは、
前々からお前に話してたはずだしな。」
「確かに話はしていましたが、だからって今この場で・・・
しかもあの本喰人の元眷属を受け入れるだなんて、危険すぎます。
もし眷属達(いもうとたち)を喰べようとする奴だったら、
どーする気なんですか?」
「アッハッハッハ!まだそんな心配はいらないだろう。
こんなガキが共喰いなんか出来るわけない。
それに俺様の可愛い娘達が、こんなガキに負けるわけないしな?」

親父は憎らしいほどの不敵な笑みで、俺を見てから、14冊目を説得した。
14冊目は親父の言葉を聞いて、呆れ返って何も言わなくなった。

「眷属達が受け入れるとは思いませんが、どうなっても私は知りませんからね?」
「フフフ・・・それはこいつ次第ってわけだ。」
「待て!何を勝手に話を進めてる!俺は承諾したつもりはないぞ!」

俺は親父に勝手にどんどんと話を進められて、怒りで大声で反論した。
自分の部下になれだ?初対面の俺を馬鹿にしすぎだろう。このおっさん。
しかも外見もド派手で、センスの悪い服にアクセサリーなんかも、ジャラジャラとつけて、
どこぞのアニメや漫画に出てくる、悪い成金キャラみたいな印象だ。

「お前さんは光栄に思うべきだぞ?」
「はぁ?なんだって???」
「俺様はな、基本野郎なんて大嫌いなんだよ。
いつ寝首を掻いて下剋上してくるか、わかんねぇーし、
自分の側に置くのも野郎じゃ面白みも楽しみもねぇーしな。」
「な、なら!俺が部下になる必要ないじゃないか!!」

俺は親父の言い分に怒りながら呆れた。だったら、何で勧誘してくんだよ?
意味が解らないんだが・・・

「そんな俺様がだ!お前の事は気に入ったんだよ。
どういうことか分かるか?すげぇー貴重なことってわけよ?
俺様の人生で3本の指に入るかどうかくらい凄いことな訳!
だから、お前さんは光栄に思って、俺様に従え。いいな?」
「アホなのか・・・こいつは・・・」

こんなやりとりの後に、俺は親父と14冊目の実力を嫌と言う程に見せつけられて、
ついでに今の俺にとっても、妹達?と言えなくもない、親父の眷属達に
散々やられたわけだ。
どうやられたかは、いずれわかるだろう。
今は・・・そこまで思い出したくもない。

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