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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

14冊目が決めたタイムリミットまで、後7秒と言うとこで、
俺は14冊目に折り返しの電話が出来た。
そんなギリギリの状態の俺に対して14冊目は、陽気な・・・
でも何か含みのある声で、俺の電話に出た。

「やっぱり、これくらい時間がかかったわね。」
「申し訳ない。それしか言えん。」
「いいわ。ジェシーちゃんとは仲直り出来たようだし、話も聞けたみたいだしね。」

14冊目は何もかも見透かしたように俺と会話してくる。
俺にとって、頼もしい存在であると同時に、一番敵にしたくない存在の1人だ。
14冊目とは過去に訳があって、俺には姉のような存在の先輩である。
人間の時は、アテネと名乗り、俺と同じようにジェシーを見守っている。
親父の元眷属でもあったことから、今の眷属達の1番上の姉のような立場でいたりもしていた。
ジェシーも14冊目をアテネ姉(え)として、慕っているので、
俺の指示を聞かない時などでは、14冊目から言って貰う事もある。
女同士と言う絆もあるのか、俺では理解出来ない結束を見せることもあるので、
そんな時はひたすら俺が面倒な目に遭うのはここでは言うまい。

「それで?ジェシーちゃんは何て?」
「それが・・・」

俺はジェシーから聞いたことの全てを14冊目に話して、
ジェシーがネットを通じてやりとりした記録も全部見たことまで報告した。
14冊目はことアテネは、俺が話が終わるまで、ずっと沈黙していた。

「もしかすると、あの配信者の子かしら?ゴートンとか名乗ってる・・・」
「え?14冊目はその配信者を知ってるのか?」
「名前だけはね。前にジェシーちゃんにお勧めされたのよ。
もし配信を見るなら、この子からがいいよって。
私は苦笑いして、今度見て見るわ。って答えたんだけど、
もしかしたら、そいつが本喰人かもしれないわね。」
「だよな。俺もそんな気がしてならないんだ。」
「厄介なのは、そいつと他に居たいた奴らだわ。
日本には12冊目や下巻が数冊いるのは過去に調べ済みだけど、
もし12冊目の仲間だとしたら、こちらとしては良い状況じゃないわね。」
「あの12冊目が仲間?そんなのあるわけない!!!」
「ハーフ・・・貴方・・・」
「わ、悪い・・・気にしないでくれ。」

俺はついアテネに口答えしてしまい、すぐに謝った。
今は12冊目のことなんかで、アテネと険悪なムードになるわけにはいかなかった。
大体、過去に「孤高が男の中では一番カッコいいんだ!」とか、
中二病みたいに言ってたあいつが、仲間なんか持つわけがない。
俺はそうなってたまるかと正直イライラした。

「とにかく、ここで電話だけじゃ埒が明きそうにないわ。
今から私もその配信者の事を調べてみるから。
ハーフはこの事は、あの方に会って、直接報告しなさい。」
「え?今から、親父に会えって言うのか?」
「当たり前でしょ。私から報告されたいの?
そうなると、この問題はかなり深刻なんだって、思われるわよ?
そうなってもいいなら、私からするけど?」
「いや、待ってくれ。俺からする。いやさせて下さい。」

俺は急に冷や汗が出そうな気分になり、14冊目の提案にすぐに乗った。
14冊目の言う事は間違いがない。
親父は14冊目の報告を何よりも信じているし、14冊目の言い方次第では、
親父の気分がどうなるか、手に取るようにわかる。
親父を不機嫌にさせたくないのであれば、俺自身が報告しに行くべきだろう。
俺は一気にどんよりとした気分になり、まるで地獄に突き飛ばされた気持ちだった。
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