このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第9章「交錯しあう気持ちと確認」

※ハーフの視点に変更

「あーもうー!締め切りが間に合わない!もう!ちくしょー!
ちょっとハーフ!いないの?ねぇ?ハーフったら!!」
「うるさいなぁ・・・仕事の準備してるんだから、気軽に話しかけてくるな。」
「何よ!私の家の居候の癖に!ちょっとくらい、いいじゃん!」
「何が居候だ。同居人だろうが!それにアパート代は俺の方が多く払ってる。
もし順位をつけるなら、俺の方が上のはずだが?」
「もうーネチネチとうるさい男ねぇ・・・」
「喧嘩を売ってきたのはお前だろうが、何だ?チョコバーでも取れって?」
「うん!新作のホワイトチョコの方ね!」
「どんだけガキなんだよ・・・ほらよ!」

俺を自身の仕事の準備をしながらも、同居人との毎度のやり取りに溜息をついた。
またあいつはこんなお菓子で食事を済ませる気か?
俺はテーブルの上にあった目についた、ホワイトチョコ味と
書かれているチョコバーを同居人に投げつけた。
同居人は華麗にパシッと受け取るとすぐに開けて食べる。

「くそー何がおかしい?ここ?それともこっちを直すべきかしら?
しっくり来ないのよね・・・」
「おい!お礼は無いのか!お礼は!!!」

俺が要求された物を投げてやったのに、同居人は感謝もせずに自分の作業にまた夢中になった。
これも毎度のことであるが、少しくらいはお礼の言葉を言うべきだろ?
親しき中にも礼儀ありとかなんとか聞いた事あるぞ!

「あーごめんごめん!ありがとうね!」
「ちぃ。なんだよーその投げやりな感謝は・・・ま、いいや。」

あんな感じで、同居人は自分の作業に没頭したら、俺の言葉など、
ほとんど聞いてない状態だ。
だから、俺がうるさく言い出して喧嘩しても無駄なわけだな。

「あいつが俺好みの食事を創れる存在だから、つい甘やかしてるんだよな。
でなきゃ、こんな関係が人間と築けるわけがない・・・」

俺は自分の仕事の準備をしながら、同居人に呆れつつも、つい愚痴を言ってしまう。
俺の同居人は本喰人なる存在からすれば、貴重も貴重な存在だ。
彼女は、俺達本喰人が食べれる食事を、その場で創ることが可能な力を秘めている。
なので俺と俺に関りのある本喰人で、彼女を保護して暮らしているのだ。

「あーそうだ。前にハーフが希望してた、推理もの話が明日までには出来ると思うからー
口に合うかわからないけど、楽しみにしててー」

彼女はチョコバーを口に咥えたままで、俺にそんなことを言ってきた。
お?楽しみにしてた作品が仕上がるってことか?

「なら仕方がない。さっきのは許してやるか・・・
じゃ、俺は仕事行って来るな?後でちゃんとした食事しろよ!」
「はいはいーわかってますぅーいってらっしゃーい!」

彼女はパソコンからは目を離さずに、玄関にいる俺に向かって、
軽く手を振って見送った。
そして自分の手がけている小説を書くのに夢中になる。
仕事から帰ってきたら、俺は自分好みの食事にありつけそうだな。
これは仕事にもやる気が出るってもんだ。
13/80ページ
スキ