「そう言えば、そのイレーネと言う娘は、最後はどうなったんですか？
彼女の子孫は？いるんですか？」

俺はどうしても気になる、イレーネと言う娘のことを、
別の質問でもう一度トリア先生に質問してみた。
トリア先生はキョトンとした顔になったが、次に何故だかニヤリとした顔になって俺を見る。
ん？何でそんな顔をするんだ？トリア先生は？

「やっぱり気になるのね。彼女の事が？そうなのね♪」
「やっぱり？どういうことですか？」
「いいのよ♪こっちの話よ♪」
「？」

俺はトリア先生が変に上機嫌になったので、不気味に感じながらも、トリア先生の返答を待った。

「彼女の最後を知っているのは、過去の貴方よ。十二。」
「へ？お、俺なんですか？」
「そう。２冊目と休戦に持ち込んだ貴方は、しばらくしてから彼女と一緒に、
一時的どこかに身を隠したの。怪我の回復を兼ねてね。」
「そ、それから過去の俺は彼女どうなったんですか？」
「さぁ？そればかりは、野外が何も言えるわけないわ♪」
「や、野外って・・・トリア先生！ちゃんと教えて下さいよ！！」

俺はトリア先生が何故ニヤリとしたのか、理由がわかった気がする。
どうやら、過去の俺とそのイレーネと言う娘は他人な関係じゃないらしいな。
トワの好きそうな恋愛関係にでもなったのだろうか？
だが、そうだとわかったとしても、今の俺には記憶が全然ないので、どうにもならない。
彼女の最後を知っているのが、過去の俺とは・・・
現在で記憶が思い出せない、この状況が何ともどかしい事か！

「過去の俺とイレーネと言う娘は、その・・・そんな関係になったんですか？」
「そうーね？お互いに私の前で顔を真っ赤にして否定したりしてたけど、
いざって時は助け合ったりしていたし、なんだかんだで、
お互いが好きだったんじゃないかと私は思うわ♪」
「なんてこった・・・」

俺は頭を抱えたくなった。トリア先生がそこまで言うのだ。
きっと満更な関係じゃなかったに違いない。
過去の俺は人間の女に興味があったのか？ちょっと信じられないな。
そんな仲になった女のことを今もろくに思い出せないなんて・・・
俺は本当に彼女のことが好きだったのか？

「十二がそこまで彼女のことを思い出そうと必死になっているのだもの。
やっぱり相当惚れこんでいたのね♪うふふ♪
あのやんちゃだった過去の貴方に教えてあげたいくらい♪」
「それは勘弁して下さいよぉートリア先生ー」

俺は何とも情けない声でトリア先生に訴えていた。
気になってしょうがないのは、そこからきているのか？
俺はもっと別な理由な気がするんだが・・・
俺の気持ちとは裏腹に、トリア先生はニヤニヤしっぱなしだ。
こんな状況をもしトワに知られたらと思うと、俺は恐怖さえ覚えた。
きっと激しく嫉妬するに違いない。これはトリア先生に釘を差しておかなければ！！
過去の俺の恋愛で嫉妬されても、現在の俺が対処できるわけがない。