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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

俺はトリア先生の話を聞き、少し悩んでいたがトリア先生はそのまま話を続けていく。

「そう。2冊目の方が最初はソロモニアを、早く復興するべきだと訴えていたわ。
でも、私や1冊目は初代の言葉に従うべきだと反対したの。」
「トリア先生達はソロモニアの復興には反対だったのですか?」
「その当時はね?あの頃はまだソロモニアは一部の権力者に恨まれていたし、
無理に復興したとしても、またすぐに悲劇が起こる可能性の方が高かった。
それに私や1冊目も、別に復興自体に反対はしたつもりはないのよ。
時が来れば、ソロモニアの子孫達を見守りながら、
徐々に元に戻るようにすればいいんじゃないかと考えていたの。」
「では2冊目だけが、ソロモニアの復興を早急にするように考えたわけですね。」
「その通りよ。」
「何故ですか?あの2冊目は、結構慎重に行動するタイプだと思っていたんですが・・・」
「それは私達にもわからないわ。何で彼はあんなに急いで復興したかったのか・・・
彼は自分の本心をほとんど言わない本喰人だったから。
もしも・・・その理由がわかるとするのなら、4冊目か6冊目・・・
または過去の貴方よ、十二。」
「過去の俺ですか・・・」

俺はトリア先生にそう言われたが、何も思い出すことが無かった。
少しは何かを思い出せるかと期待したが、そう上手くはいかないようだ。
それにしても、当時の2冊目は何でそんなに急いで、
ソロモニアの復興をしようとしたんだ?
1冊目達だって、いつかはソロモニアを復興させようとはしていたのだから、
無駄に対立する必要もないだろうに・・・

「今は思い出せないかもしれないけれど、今後、思い出せた時には、
私に教えてくれるかしら?十二?」
「はい。思い出せたら、すぐにトリア先生に報告します。」
「良かったわ。有難うね・・・十二。」

トリア先生は俺に感謝の言葉を言うと、目を閉じて自身の気持ちを
落ち着かせている。
トリア先生も、俺と同じ・・・いやそれ以上にもどかしい気持ちになっただろうな。
俺よりもずっと昔から2冊目が自分達に対立してきた、
真の理由を知りたいだろうからな。
俺がとっとと、その辺りの記憶を思い出しさえすれば、
こんな気持ちにお互いならないで済むんだが。
にしても、2冊目が他の本喰人と協力的な本喰人であったのなら、
ソロモニア一族とやらは、もっと早く確実に復興したんじゃないかと思うんだよな。
この後で、トリア先生はソロモニアの一部の子孫が世界の各地に居て、
その何人かをトリア先生達は見守っていると言った。
2冊目側も何人か知ってるらしくて、同じように見守っているのではないかと言う。
トリア先生達も2の奴も、昔の様なソロモニア一族の盛大な復興は願ってないらしい。
トリア先生達は生活に困っているなら、手助けする程度との事だ。
2の奴はどれだけ支援してるかは、よくわからないと言う。

「さあ!次の話をしましょうか!十二がここに留まると言っても、
話すことはまだありますからね。」
「はい、そうですね!トリア先生。」

俺達は気持ちを切り替えて、次の新しい話をし始めた。
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