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第9章「交錯しあう気持ちと確認」

「2冊目の仲間としての貴方は、凶暴そのものと言った感じの本喰人だったわ。
今と比べると正反対と言ってもいいかもしれない。
何かあるとすぐに誰かと勝負するのが大好きで、自分の暇つぶしの為になるのなら、
2冊目の計画にも、疑問を持たず、平気で参加していた感じね。」
「そう・・・ですか・・・やっぱ俺は・・・」
「けど、それもおかしいことではないわ。あの頃の貴方は2冊目と親友であり、
あの2冊目も貴方の事は特にお気に入りだった。
最初の頃は貴方を弟のみたいに思っていたでしょうしね。」
「え?2冊目が俺を弟みたいに?」

俺はトリア先生から意外な言葉を言われて、一瞬だけ拍子抜けしてしまった。
あの2冊目が最初は俺を弟みたいに思っていたと言うのか?
今となっては信じられない気持ちだ。

「2冊目が真に仲間を作ったと言える時期は、貴方を含む、4冊目、
6冊目と組んだ時だと私達は考えるわ。
あの頃が2冊目も一番活動していたでしょうし、私達に対する敵対心も凄かった。」
「2冊目は何故そんなに3冊目達に敵対していたんですか?」
「それは・・・」

トリア先生は俺の質問に答えにくそうにして口籠る。
2冊目とトリア先生、1冊目は昔から「何か」で対立している。
元からお互いに仲が良いと言う訳ないだろうが、
それでもその「何か」の所為で、今に至るまで長年、敵対するまでになったのは間違いない。
だから、その「何か」はすぐに話せる内容ではないのだろう。
だが、いつかは教えて貰わなければならないだろうな。
2冊目との関係に最終的に終止符を打つ為にも。俺は特に。

「十二は私達本喰人を生み出した一族の事は思い出せているかしら?」
「いいえ・・・残念ながら、その手の記憶はまだ・・・」
「そうなのね。でも過去の12冊目も自分を生み出した一族には、
あんまり興味が無かったようだから、思い出さないかもしれないわね。」
「そうなんですか?過去の俺はその手の話に興味が無かった感じですか?」
「ええ。そんな事を気にするなら、自分が楽しいと思える勝負の1つでも、
多くしたいって考えていたんじゃないかしら?」
「俺はどんだけ勝負大好きな奴だったんだ・・・」

俺は過去の自分に心底呆れた。
今の俺も多少なりとも命を賭けた戦いでなく、ゲームに近い勝負なら嫌いではないが、
それだって常日頃から勝負がしたいと思うことは無い。
戦術関係の本を1日中読んだりするのは苦ではないが・・・
俺が戦術を好きなのも、過去の俺の影響があるからっぽいな。
にしても、過去の俺も少しは自分の生みの親の事を気に掛けてくれれば、
根掘り葉掘りトリア先生から聞かなくて済んだかもしれないのに。
俺は過去の自分が恨めしいと感じた。
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