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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「と言う事は、お前の中にあの子がいるってわけか・・・
ちぃ・・・ただでさえ四四の事もあるから、お前なんて気に食わないのに。
よりにもよって、一三がいるんじゃ、お前を邪険に扱えなくなったじゃないか。」
「それは、どうもすいません。」

懐かしまれていたかと思ったら、次の4冊目の言葉は、
またいつもの悪態をついたような感じだった。
それでも、最初の頃よりは、強い憎しみが減って、
少しだけ柔らかみが出てきたようにも思えなくもない。
私はつい咄嗟に4冊目に謝罪してしまったが。

「お前の中に一三がいるってことは、一三が2冊目に殺されたって言うのは本当のことだな?」
「はい。本当のことです。」
「やっぱり、そうなってしまったのか。噂であって欲しかったんだけどなぁ・・・」
「4冊目は、どうして一三が2冊目に殺されなければならなかったのか。
理由をご存じなんですか?」
「うーん・・・」

私は4冊目なら、一三が殺された理由を知っているのではないかと期待した。
そして、知ってそうな雰囲気を出しながらも、4冊目は唸り始めて、
それ以上は何も言わなくなってしまった。
私は4冊目の態度に少しイライラする。

「お願いです!もし知っているなら教えて下さい!4冊目!」
「うるさいなぁー教えないとは言ってないだろ?」
「だったら!」
「まー待て待て。今はその時期じゃない。」
「その時期じゃない?どういうことですか?」
「この場で話すことじゃないってことだよ。」
「では、どこでだったら話してくれるんですか?」

私は4冊目に食って掛かってしまっていた。
やっと長年知りたかったことを、知っている人物に出会えたのに、
この場では答えを知ることが出来ないもどかしさに、
私のイライラは、どんどん積もりそうになった。
そんな私の態度に、4冊目も察した様子だった。

「お前の怒りは私も理解してやれるつもりだ。
私だって、一三を2冊目に殺されたことに関しては、怒ってるんだ。
あの子は私にとっても、大事な子ではあったからね。」
「4冊目にも一三は大事な子だったんですか?
それはどういう意味で?」
「大雑把に言うなら、あの子は私の命の恩人かな?」
「え?一三が4冊目の命の恩人?」
「あーその辺の話も含めて、今は詳しく言えないな・・・」

4冊目はまた歯切れの悪いとこで会話を止めてしまった。
一三が4冊目の命の恩人とは、一体どういうことなのだ?
過去に私が一三から聞いた話では、一三の方が4冊目を恩人だと言っていたと思うのだが、
お互いに恩があったと言うことなのか?
それに私と一三が出会うきっかけをくれた人とも言っていたのに。
私は4冊目の言葉に混乱させられて、イライラするだけだった。
どうしたら、4冊目は私に一三の事を話してくれるだろう・・・
私は必死になって、今度はそれを頭の中で考え始めた。
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