このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

私と4冊目はしばらくお互いに黙ったままだった。
私から何か声を掛けるのも躊躇われるし、4冊目も自分の式神が、
まさか四四の結界でバレてるとは思っていなかったようで、
それでプライドが傷ついたのか、不機嫌そうに黙ったままで、
私に話しかけようとしてこなかった。
だが、私の予想に反して、最初に声を掛けたのは4冊目の方だった。

「四四の事ばかり、気にしていたので今まで気付かなかったが・・・
お前、13冊目の身体の一部をその身に宿してるな?」
「そ、それは・・・どうして、そう思うんですか?」

いきなりの4冊目の言葉に、私は動揺が隠せなかった。
必死に隠そうとしようとしたが、どうしても言葉が変に詰まる。
にしても、どうして4冊目は私の中に一三が居ることに気付いたのだろうか?
何か、そんなきっかけを私は与えてしまっただろうか?

「正直に話せ。悪いようにはしない。」
「・・・・・・」

4冊目は式神を通して、冷静な声でこう私に言う。
私はすぐに返事が出来ずに黙ったままになってしまう。
これで4冊目に一三の事をこの場で話して、まさか一三の身体の一部を奪われるのでは?
と、私はその嫌な考えが浮かんでしまった。
私だって4冊目のことは、全面的には信じられていない状況なのだ。
悪いようにしないと言われても、簡単には信じる気になれない。

「私はな、24冊目。13冊目の事に関して知りたい事があるんだ。
もし、13冊目の・・・いやあの子の事を知っているのなら、
私に隠さずに話せ。」
「どうして、4冊目が13冊目を気にされるんですか?」
「そりゃー気にもするだろう。過去に関りがあったんだからな。」
「え?!一三が4冊目と?!」

またしても意外な言葉に、私は驚いて声を上げてしまった。
ゴートンや四四がすぐ隣で休んでいるのに、起こしたりしてしまってないだろうか?
私は各自の部屋を気にしたが、どうやら起こさずに済んだようだった。

「一三か・・・懐かしいな。」
「4冊目も13冊目の事はそう呼んでいたんですか?」
「まぁな。だって、その名前を考えてやったのは、この私だからな。」
「ええ?!」

次から次へと、想像もしていなかった4冊目の言葉に、
私は頭が大混乱していた。

「とにかく、お前の身体の中に13冊目がいるのは認めるな?」
「はい・・・います。」

私は4冊目の言葉に驚いて、つい13冊目を一三と呼んでしまったのだ。
これでいないと言っても、嘘にしか聞こえないだろう。
しかも4冊目の言葉が本当なら、一三の命名までした存在なのだ。
これは相当に深い関りがあると考えていい。

「そうか・・・あの子はお前と共にあることを望んだんだな。
全く・・・最後の最後まで、私の予想を裏切る子だったねぇ。
いや、望み通りになったとでも言うべきかな?一三からすれば。」

4冊目の言い方は、何か懐かしいものを見て、心が穏やかになってる感じの声だった。
いつもの刺々しい感じが消えている。
もしかして、一三の言っていた、過去に恩がある、
あの人とは4冊目の事だったのだろうか?
83/86ページ
スキ