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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「二四には、あの人にもいつか会って貰わないとだね。」
「あの人?」

私は別の日の一三との思い出を、続けて思い出していた。
一三は私を自分の膝に乗せて、優しく頭を撫でてくれていた。

「うーん、何とも説明のしづらい人なんだけどね。
あ、人って言っても、同じ本喰人なんだけどさ。」
「あのよく言ってる12冊目とは違う人なの?」
「そう、12冊目とは違う人よ!過去にお世話になった人ではあるんだけど・・・
なんて言うか・・・変人と言うか・・・
今の二四に説明するのは難しいわね。」
「変人?お世話になった人だけど、一三からしたら変態なの?」
「ぶっ!!!」

私の何気ない言葉に一三は驚きつつも、変な声を出した。
そして、いきなり大爆笑をし出す。

「あっはっはっは!やだ!二四ったら!もうー♪
まぁ、一部の仲間からは、変態って言われてもしょうがないかもしれないわね。
誤解のされやすい人だと思うけど、私も恩があるとは言え、
全面的には擁護出来ないわ。」
「そんなに複雑な人なの?」

私は一三の方に振り向き、一三の顔を見た。
一三も笑いはしてるが、私と顔を合わせると、何とも言えない複雑な表情になっていた。
そして、再び私の頭を優しく撫でながら、話を続ける。

「あの人がいなければ、私は二四とこうして出会うのは無理だったんだよ?」
「え?そうなの?」
「うん。あの人の助けがあったからこそ、私も二四も助かったの。
だから、いつかはお礼は言いに行くべきだと思う。
まー私達、本喰人は長生きだから、急ぐこともないだろうけどね。」
「じゃあ、僕がもっと成長したら、一三と一緒に、その人に会いに行こうよ!」
「うん♪一緒に行こうね♪」

私はこの事を思い出し、あの時に一三が言ってた人物は誰なのか、今になって気になり始めた。
十二先輩には無事に出会えて、今は仲間に加えて貰っている。
では、私が一三と出会うきっかけになった、その人物は一体誰なのだ?
一三は、その人物に恩もあると、はっきり言っていた。
私にもあるのだと。
だったら、私は今後はその人物を探し出して、一三の代わりに
お礼をするべきではないのか?
そして、一三の事も言うべきだろう・・・もうこの世にはいないことを。
私の中にいると言う事もだ。

「?!!!」

そんな考えをしている中で、私は自分の側に誰かがいる気配を感じた。
まさか、敵側に侵入された?!と慌てそうになったが、
その侵入した存在が誰かわかって気が抜けそうになった。

「4冊目・・・いらしてたんですか?」
「ほう?よく気づいたじゃないか?気配は消してたつもりだったんだが?」
「いえ、きっと四四の結界のおかげだと思いますが、
4冊目の式神の姿は肉眼で確認出来てますよ?」
「なんだと?!!!四四め・・・あのとっておきの結界を、
こいつらの家にしてやったのか!!!」

4冊目は式神を通して、私に悔しそうにこう言った。
ここまで四四がするとは、本気で思っていなかったようだ。
それにしても、4冊目が私の前に姿を現すなんて珍しいこともあるものだと、
私は意外に思っていた。
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