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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

こっちの家に戻ってきて、するべきことをお互いが終わってから、
私達はリビングで四四が持ち帰ってきた資料を読むことにした。
私とゴートンは、四四がカバンから出した資料に固唾を呑み込んだ。
一体、どんな事が書かれているのか、緊張感さえ出てくる。

「では・・・資料を読み始めますね?」

四四も緊張した態度で、私とゴートンに同意を求める。
私とゴートンは力強く四四を見て、返事の代わりに頷いた。
四四は静かに資料の本をめくり始めた。
4冊目とあの2冊目が残した資料だ。2冊目には憎しみの気持ちはあるものの、
だけど、どんな情報がそこにあるのかは、やっぱり気になる。
私達は揃って顔を寄せて、その資料に釘付けになった。

「す、凄いね・・・これ・・・」
「はい・・・私も想像以上でした。こんな事まで書かれているなんて・・・」
「1冊目でこれなら、他の本にも、まだまだ貴重な情報がありそうだね。」

私達は最初に中国語でびっしりと書かれていた資料をざっと読んだ。
四四の持ち帰った資料は、3冊ほどの厚めの古びた本ではあったが、
外装がしっかりとしていたので、中身はちゃんと読むことが出来た。
そして、その3冊のうちで2冊が中国語で、残りの1冊はドイツ語で書かれてある。
予測ではあるが、中国語で書いたのは4冊目で、ドイツ語で書いたのは2冊目だろう。

「これは日本人の方が読むには難しすぎると思います。
相当、中国語とドイツ語に詳しい方でないと・・・
それもあるから四堂達は逆に日本にこの資料を残しても、
平気だと思っていたのかもしれないですね。」
「そっか・・・読めない本を盗む人もそうはいないもんね。」
「その前に、あの建物に盗みに入った時点でタダで済まないだろうけどね。」
「あ、確かに。にっちゃんの言う通りだね。」

ごーちゃんは私の言葉を聞いて、素直にあっさりと認める。
普通の人間どころか、本喰人であっても中巻クラスくらいでなければ、
あの建物から逃げ出すことも出来そうにない。
いや、中巻クラスの本喰人であっても、相当に危険だろう。
今回は四四が4冊目から可愛がられているから、持ち帰ってこれたようなものだ。
でなければ、私とゴートンだけだったら、今頃はどうなっていたことやら。
最悪の場合は罠次第では、両者とも死ぬことになったかもしれない。
4冊目の式神が出した、あの影人間のような敵にでさえ、
私とゴートンはかなり苦戦させられたのだ。
4冊目から見たら、あの戦いは戦いではなく、お遊び程度だったのにも関わらずだ。
六の師匠の元で、かなり成長出来たと思っていただけに、
私もゴートンも少しショックだった。
まだまだ上巻クラスの本喰人には足元にも及ばないと
再確認させられてしまったのだから。
十二先輩からは、あの最後の時に、もし上巻クラスと戦う事になっても、
無理だけはするなとは言われてはいたが、それでも私にはどうしても歯痒い。
早くまともに、あの2冊目と戦えるだけの実力が正直欲しかった。
いつかは一三の仇を取りたいと思っているのだから。
それは十二先輩も同じ気持ちだろうとはわかってはいるが。
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