第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」
「そうだなーおとぎ話でも聞くような気持ちで、軽く聞いて欲しいんだが。」
藤本はそう前置きしてから私達を見ながら、その話を語り出した。
「俺の遠い遠い祖先、母方の方の先祖になるんだが、その先祖は今のヨーロッパ圏あたりのどこかで、
有名な魔術師の一族だったらしいんだ。
詳しい場所までは流石に母方の曾祖母でさえ知らなかったようだが、
そんな話だけが、代々ひっそりと語り継がれている家だったらしい。
それでその魔術師の一族は、人間の姿になれる特殊な本を作り出して、
自分達の使い魔みたいにして、一緒に暮らしていたらしい。
それが本喰人(ブック・イーター)と言われる存在だね。」
「うんうん。」
ゴートンは藤本の言葉に、何も疑いを持たずに、子供のような無邪気さで、
相槌を打ちながら真面目に聞いている。
私と四四の方は黙って静かに藤本の話を聞いた。
「俺も小さい頃に、母親からこの話を聞くのが好きでね。
子供の頃は特にこういうファンタジーな話は面白く感じるし、好きだろ?
だから俺もよく覚えていてね。母も何度も話してくれたもんだ。
それで遠い親戚だった、あの子を一時的に引き取った時に、
よくこの話を話してあげたんだ。
彼女にも関係ある話でもあったからね。彼女は母方の子の親戚筋の子だったから。」
「なるほど・・・それでその彼女が、僕達に藤本さんを
紹介してくれたってことなんですかね?」
「じゃないかと思うよ。こんな話を知ってる人間はそうそういないと思うし、
彼女からも、あんなメールが来てたからね。」
「あ!そうだった!メール見せて貰いましたもんね。」
「だろ?まーあの子は、この話がとにかく大好きだったからね。
自分が生きてる間に、絶対にその本喰人なる存在に会うんだ!って、
いい歳になった今でも言ってるくらいさ。」
藤本はそう言って苦笑いしながら、私達を見ていた。
「俺の遠い遠い母方の祖先が、もし本当にそうだったとしてもだ。
だからって他人に俺の先祖は、魔術師で存在していたんだ!
なんて言っても・・・ってなるだろう?この現代にさ。
それに、その事を証明出来る物は何も残ってないんだ。
母もそれらしい物は何も持ってなかったしね。」
「お母様のお話だけでは、確かに誰かに信じて貰うには難しい話ですよね。」
「でしょ?でなければ、俺の目の前に、その例の本喰人なる存在が、
表れてくれたならまた話は違うんだけどね。
けど、この話は母方の先祖の誰かが作った、創作の話だと思うよ。
子供が寝つけない夜とかに、聞かせてあげる為のね。」
私達は複雑な気持ちになったが、藤本には何も言えなかった。
四四だけは藤本が気の毒だと思ったのか、少しだけ声を掛けたが、
藤本も薄っすらと苦笑いで返すくらいだった。
藤本の中では、その話は作り話だと思い込んでいるらしい。
だから、この話を聞いて私達が本気になったら困ると思ったのだろう。
藤本としては、存在しないものを必死に探しても無駄だと認識しているのだから。
それを見知らぬ人間にさせることになったら・・・
申し訳ないと思ってもおかしくはない。常識のある大人なら。
「と、まぁこんな感じの話なわけだけど、これ以上は何もないんだが、
これで満足して貰えるかな?」
藤本は、すまなさそうな顔で私達を見て、話しの終わりを告げた。
ゴートンがまず先に藤本にお礼を言い、その後で私も四四も続けてお礼を言った。
とりあえず、聞きたかった話は無事に聞けた感じだ。
4冊目から聞いた話と似通っている部分があるだけでも、こちら側としては、
収穫がある話だったと思う。
藤本はそう前置きしてから私達を見ながら、その話を語り出した。
「俺の遠い遠い祖先、母方の方の先祖になるんだが、その先祖は今のヨーロッパ圏あたりのどこかで、
有名な魔術師の一族だったらしいんだ。
詳しい場所までは流石に母方の曾祖母でさえ知らなかったようだが、
そんな話だけが、代々ひっそりと語り継がれている家だったらしい。
それでその魔術師の一族は、人間の姿になれる特殊な本を作り出して、
自分達の使い魔みたいにして、一緒に暮らしていたらしい。
それが本喰人(ブック・イーター)と言われる存在だね。」
「うんうん。」
ゴートンは藤本の言葉に、何も疑いを持たずに、子供のような無邪気さで、
相槌を打ちながら真面目に聞いている。
私と四四の方は黙って静かに藤本の話を聞いた。
「俺も小さい頃に、母親からこの話を聞くのが好きでね。
子供の頃は特にこういうファンタジーな話は面白く感じるし、好きだろ?
だから俺もよく覚えていてね。母も何度も話してくれたもんだ。
それで遠い親戚だった、あの子を一時的に引き取った時に、
よくこの話を話してあげたんだ。
彼女にも関係ある話でもあったからね。彼女は母方の子の親戚筋の子だったから。」
「なるほど・・・それでその彼女が、僕達に藤本さんを
紹介してくれたってことなんですかね?」
「じゃないかと思うよ。こんな話を知ってる人間はそうそういないと思うし、
彼女からも、あんなメールが来てたからね。」
「あ!そうだった!メール見せて貰いましたもんね。」
「だろ?まーあの子は、この話がとにかく大好きだったからね。
自分が生きてる間に、絶対にその本喰人なる存在に会うんだ!って、
いい歳になった今でも言ってるくらいさ。」
藤本はそう言って苦笑いしながら、私達を見ていた。
「俺の遠い遠い母方の祖先が、もし本当にそうだったとしてもだ。
だからって他人に俺の先祖は、魔術師で存在していたんだ!
なんて言っても・・・ってなるだろう?この現代にさ。
それに、その事を証明出来る物は何も残ってないんだ。
母もそれらしい物は何も持ってなかったしね。」
「お母様のお話だけでは、確かに誰かに信じて貰うには難しい話ですよね。」
「でしょ?でなければ、俺の目の前に、その例の本喰人なる存在が、
表れてくれたならまた話は違うんだけどね。
けど、この話は母方の先祖の誰かが作った、創作の話だと思うよ。
子供が寝つけない夜とかに、聞かせてあげる為のね。」
私達は複雑な気持ちになったが、藤本には何も言えなかった。
四四だけは藤本が気の毒だと思ったのか、少しだけ声を掛けたが、
藤本も薄っすらと苦笑いで返すくらいだった。
藤本の中では、その話は作り話だと思い込んでいるらしい。
だから、この話を聞いて私達が本気になったら困ると思ったのだろう。
藤本としては、存在しないものを必死に探しても無駄だと認識しているのだから。
それを見知らぬ人間にさせることになったら・・・
申し訳ないと思ってもおかしくはない。常識のある大人なら。
「と、まぁこんな感じの話なわけだけど、これ以上は何もないんだが、
これで満足して貰えるかな?」
藤本は、すまなさそうな顔で私達を見て、話しの終わりを告げた。
ゴートンがまず先に藤本にお礼を言い、その後で私も四四も続けてお礼を言った。
とりあえず、聞きたかった話は無事に聞けた感じだ。
4冊目から聞いた話と似通っている部分があるだけでも、こちら側としては、
収穫がある話だったと思う。