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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

私とノウェムとファウヌスは、セブンの言われた通りに集落に
出向き、道に迷った旅人風を装った。
最初は凄く警戒された私達だが、ファウヌスが集落の長といい具合に話し合いつけて、
私達は使ってない小屋で今夜一晩泊っても良いと許可を得た。
私はお礼に少々のお金と持ち合わせの装備品を集落の長に渡して、
他の集落の男達にも色目を使っておいた。
私は意外に上手くいくものね、と拍子抜けしていたが、こんな順調にいったのは、
ファウヌスがすでに長と話をつけていたからなのよね。
集落の人間達もファウヌスとすでに顔馴染みのはずなのに、知らないフリをしていたのだ。

「ノウェム。お前少しは警戒を解けよ。怪しまれるだろう。」
「そうだが・・・しかし・・・」
「そうよ、ノウェム。少しは普通にしなさい。相手が受け入れてくれたのだから大丈夫でしょ。
こっちが警戒したままだったら、逆に怪しまれるわよ。」
「はい・・・わかりました・・・」

ノウェムは集落に入っても警戒したままだったが、
それを止めるようにファウヌスはノウェムに注意した。
私も変に警戒したままだと良くないと思い、ファウヌスと一緒になってノウェムに言う。
ノウェムは、私にまで言われたので、渋々と言った顔で警戒は解いた感じなのだが、
それでも顔は険しいままだった。

「ここの集落の長とは、最近してる仕事の関係で会ったことがある人物だったから大丈夫だよ。
まさかここの集落の長だとは思わなかったけどね。はは。」
「あら?そうだったの?だったら、もっと安心じゃない!よくやったわ!ファウヌス!」
「はい。なので後はセブン様からの報告を待ちましょう。」
「そう・・・上手くいけばいいけどな・・・」

私とファウヌスが喜び合う中で、ノウェムだけはボソッとそう言う。
私はノウェムの態度にカチンと来そうになったが、黙ったままにしておいた。
ここで私がノウェムと喧嘩になって良い事はない。
集落の人間に怪しまれるような行動は極力するべきじゃないと思ったし、
いざと言う時、自分に何かあったら守って貰う存在だ。
ノウェムとの関係を悪化させたくなったのもあった。

「俺は集落の長から、少し食べ物など分けてきて貰いますね。
後、寝る為の物も借りないと。」
「そうだわね。じゃないと怪しまれちゃうわ。お願いね。ファウヌス。」
「はい。では行ってきます。」

ファウヌスは笑顔で、私にそう告げて借りた小屋から出て行った。
私は気まずいと思いながらも、黙ったままでノウェムと一緒にいた。
すると・・・

「ナイン様。ファウヌスもいない今の内に集落を出ましょう。」
「え?」

私はノウェムの言葉に耳を疑った。やっと集落に入り込めたのに、すぐに抜け出せと言うの?
私はノウェムの顔を見ると、これが最後の忠告だと言わんばかりの顔で、
ノウェムは私の顔を真剣に見つめていた。
この時に私がすぐにでもノウェムの言葉を聞き入れて、行動していたら、
私はアメリカでの悲劇を防ぐことが出来たのにね・・・
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