第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」
2冊目が仕入れたと思われる「禁断の本」は、ある小さな集落のような場所にあると、
セブンは馬に乗りながら私に説明した。
私は自分だけでは馬には乗れないので、ノウェムの乗っている馬に同乗していた。
私達はセブンの指示に従い、夕暮れにその集落へ向かう所だった。
2冊目から「禁断の本」を盗む為に。
「2冊目が仕入れた物は、その集落で今日は匿って、明日の早朝に
集落にいる奴らを使って港に運ばせる手筈みたいだ。
だから、今日の夜のうちに俺達が2冊目から例の「禁断の本」を盗んでしまえばいいってわけだ。」
「セブンは簡単にそう言うけど、本当にそれで大丈夫なの?」
「ナインは心配症だな。安心しろよ。あそこには2冊目もその眷属らしいやつもいなさそうだ。
だったら、ただの人間相手から盗み出すくらい、俺達なら簡単だろう?」
「2冊目とかその眷属がいないのなら・・・まぁ・・・」
私はセブンの話を聞いていても、心の中には不安しかなかった。
あの2冊目がそんなに無防備かしらと。
ノウェムはあれっきり難しい顔をしたまま黙るようになり、私から話掛けない限りは、
何も言わなくなった。
それに引き換え、ファウヌスやヴァンダムは上機嫌な顔を時々する。
これから先が楽しくてしょうがないと言った顔だ。
この時の私は、彼らが男の本だから、こうした作戦に参加出来ることに興奮して、
それで楽しそうにしているのだと誤解していた。
本当はそんな理由ではなかったのだ。
ファウヌスからすれば、この作戦は完全に2冊目の仕組んだ罠だと知っていて、
私達を誘導するのだから、楽しかったかもしれないわね。
自分を酷く扱う私へ復讐出来るチャンスが来たのだ。
それに上手くいけば、私から離れて自由にさえなれる。
ファウヌスも最終的には2冊目から、下巻の本喰人にしてやる等、
言われたに違いない。
セブンに唆された、ヴァンダムも同様に。
私はそんな陰謀が渦巻く中で、その集落に向かってしまった。
集落より少し離れた場所で、馬から下りた私達は、身が隠せそうな木々の中で、
最後の作戦会議を行った。
辺りはすっかり夜になっているのもあって、灯りがなければ、
こんな場所に人が潜んでいるとも思われなさそうだった。
セブンはヴァンダムを連れて、二手に分かれようと私に言う。
「俺はお前の眷属のこのヴァンダムと一緒に、あちらから集落に隠れて入り、
「禁断の本」を探して盗み出すようにするから。
ナインはその間は時間稼ぎしてくれないか?」
「私が?」
「おう!お前の美貌なら、集落にいる男どももいきなり殺そうとしたりしないだろう。
道に迷って、ここに辿り着いたとか適当に誤魔化して、
集落の奴らの目を引き付けておいてくれ。」
「わ、わかったわ・・・出来る限りしてみる・・・」
「もし危なさそうなら、すぐに俺が助けるから安心しろ!な?」
「うん・・・」
私がアメリカに居て、最後に聞いたセブンの言葉はこれだった。
いつもと変わらない笑顔に、私は騙されていると知らずに安心してしまっていた。
セブンがこう言うのだから大丈夫だと。
セブンは馬に乗りながら私に説明した。
私は自分だけでは馬には乗れないので、ノウェムの乗っている馬に同乗していた。
私達はセブンの指示に従い、夕暮れにその集落へ向かう所だった。
2冊目から「禁断の本」を盗む為に。
「2冊目が仕入れた物は、その集落で今日は匿って、明日の早朝に
集落にいる奴らを使って港に運ばせる手筈みたいだ。
だから、今日の夜のうちに俺達が2冊目から例の「禁断の本」を盗んでしまえばいいってわけだ。」
「セブンは簡単にそう言うけど、本当にそれで大丈夫なの?」
「ナインは心配症だな。安心しろよ。あそこには2冊目もその眷属らしいやつもいなさそうだ。
だったら、ただの人間相手から盗み出すくらい、俺達なら簡単だろう?」
「2冊目とかその眷属がいないのなら・・・まぁ・・・」
私はセブンの話を聞いていても、心の中には不安しかなかった。
あの2冊目がそんなに無防備かしらと。
ノウェムはあれっきり難しい顔をしたまま黙るようになり、私から話掛けない限りは、
何も言わなくなった。
それに引き換え、ファウヌスやヴァンダムは上機嫌な顔を時々する。
これから先が楽しくてしょうがないと言った顔だ。
この時の私は、彼らが男の本だから、こうした作戦に参加出来ることに興奮して、
それで楽しそうにしているのだと誤解していた。
本当はそんな理由ではなかったのだ。
ファウヌスからすれば、この作戦は完全に2冊目の仕組んだ罠だと知っていて、
私達を誘導するのだから、楽しかったかもしれないわね。
自分を酷く扱う私へ復讐出来るチャンスが来たのだ。
それに上手くいけば、私から離れて自由にさえなれる。
ファウヌスも最終的には2冊目から、下巻の本喰人にしてやる等、
言われたに違いない。
セブンに唆された、ヴァンダムも同様に。
私はそんな陰謀が渦巻く中で、その集落に向かってしまった。
集落より少し離れた場所で、馬から下りた私達は、身が隠せそうな木々の中で、
最後の作戦会議を行った。
辺りはすっかり夜になっているのもあって、灯りがなければ、
こんな場所に人が潜んでいるとも思われなさそうだった。
セブンはヴァンダムを連れて、二手に分かれようと私に言う。
「俺はお前の眷属のこのヴァンダムと一緒に、あちらから集落に隠れて入り、
「禁断の本」を探して盗み出すようにするから。
ナインはその間は時間稼ぎしてくれないか?」
「私が?」
「おう!お前の美貌なら、集落にいる男どももいきなり殺そうとしたりしないだろう。
道に迷って、ここに辿り着いたとか適当に誤魔化して、
集落の奴らの目を引き付けておいてくれ。」
「わ、わかったわ・・・出来る限りしてみる・・・」
「もし危なさそうなら、すぐに俺が助けるから安心しろ!な?」
「うん・・・」
私がアメリカに居て、最後に聞いたセブンの言葉はこれだった。
いつもと変わらない笑顔に、私は騙されていると知らずに安心してしまっていた。
セブンがこう言うのだから大丈夫だと。