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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「その姿の際には、キュリーと名乗る事にされるんですか?母上?」

オレはオスカー様が屋敷を出たのを確認してから、キュアート様に山ほど言いたい事が、
あるのを抑えて、これだけ言った。
今のオレの顔を見たら、さぞぶっきらぼうに見える事だろう。
普段から愛想が良くないとキュアート様に言われることもあるが、
今回ばかりはオレも、怒りを抑えるのがやっとで、愛想など気にしていられなかった。

「もう。ノウェムったら、ずっと不機嫌そうね。そんなにこの姿の私が嫌かしら?」
「その姿が嫌とか、そういう問題ではありません。母上。
あんなにお優しいオスカー様まで騙して、遊ぶなんて・・・
オレは怒っているのでなく、もう呆れきっているのです。」

オレが声のトーンを下げて言うと、キュアート様は悲しい顔になる。
その顔を見て、反省してくれているのだろうと、オレは思いたいとこだが、
母上の悪戯好きはすぐには、治らないのもいつものことだった。

「今回は私がほーーーんとうに、悪かったわ。だから、もう怒らないで頂戴ノウェム。ね?」
「本当に反省して下さいますか?」
「するする!今度、この姿になる時は、絶対にノウェムに相談もするわ!
だから、ね?私を許して?」

少女の姿のキュアート様は、何とも言えず可愛い仕草で、
オレの側に来て、オレの服の裾を掴み、上目遣いでオレに許しを請う。
この姿を誰かに見られたら、オレの方がキュアート様をいじめてるみたいではないか?
ヴァンダム辺りが見たら、さぞ怒って、オレの方を非難することだろう。
「こんなにも母上に謝罪させることないだろう!」とか言ってな。
オレは深い溜息をつき、キュアート様を許した。
他の人間の男なら、こんな仕草でもイチコロにされるんだろうな。

「ところで、その姿から普通の姿には、すぐに戻れるんですか?」
「うーん、それが明日にならないと無理そうなのよね・・・」
「え?では、今日の夜はどうされるつもりなんですか?」
「そうねぇー今夜は、どうにかして夫に会わないようにするわ。
1日中サウナ室もある、私の美容専門の部屋にでも籠ろうかしら?
そしたら、彼も私には逢えないからね。」
「ふぅ・・・オスカー様は短い時間も作って、キュアート様に会いたがっているのに・・・
可哀想ではありませんか?」
「いいのよ♪その分、明日は思いっきり愛し合うから♪」
「・・・・・」

オレはもうこの回答に黙るしかなかった。仕方がない。
今のキュアート様とオスカー様の愛し合い方はこうなのだから。
眷属とは言え、オレは何も文句が言えない。
とりあえず、キュアート様がこの少女の姿の時は、キュリーと名乗ると言う事を
他の者達にも徹底させなければいけない。
オレはキュアート様を美容室にエスコートした後に、イーリス達の方に先に行き、
明日の予定をもっと詰めることにした。
それから、セアには、キュアート様の身代わりになって、
何をして貰うかも明確しないといけないな。

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